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アルツハイマー治療に新たな指針 理研が次世代型モデルマウスの開発に成功
アルツハイマー病は患者本人はもちろんのこと、家族や周囲の人間にも精神的、経済的に多大な負担がかかる。このため、様々な角度からの治療に向けた研究がなされているが、未だに決定打はない。
理化学研究所は14日、既存のアルツハイマー病モデルマウスよりも、アルツハイマー病患者脳内のアミロイドの蓄積を忠実に表わす、次世代型アルツハイマー病モデルマウスの開発に成功したと発表した。
これは、理研脳科学総合研究センター 神経蛋白制御研究チームの西道隆臣シニアチームリーダー、斉藤貴志副チームリーダーらによる成果。疾患研究には、病態を忠実に再現するモデル動物が不可欠。モデル動物の作製では、通常、病気の原因となる遺伝子を同定し、その遺伝子を過剰に発現させるか、欠損させる。
アルツハイマー病では、アミロイドβペプチド(Aβ)が凝集し、アミロイド斑となって脳内に過剰に蓄積することが病気の発症の引き金と考えられている。これまでにAβの前駆体であるアミロイド前駆体タンパク質(APP)[2]の遺伝子変異が同定されている。そのため、APPを非生理的に過剰に発現させたAPP過剰発現マウスが、第一世代アルツハイマー病モデルマウスとして主に使用されてきた。しかし、過剰発現したAPPの記憶障害などの非生理的な効果が強く、また脳内のアミロイドの蓄積もアルツハイマー病患者との類似性が乏しいため、ヒトのアルツハイマー病のモデルとして適切だとは言い切れなかった。
今回、同研究グループは、この問題を解決するため、遺伝子の過剰発現法を用いずに、患者でみられる遺伝子変異と正常な遺伝子を“置き換える”方法(ノックイン技法)により「APPノックインマウス」の開発に成功し、解析を行ってきた。APPノックインマウスは、患者の脳におけるアミロイドの蓄積に忠実なだけでなく、既存モデルでしばしば発生する研究途中での突然死が起きないため、アルツハイマー病モデルとして極めて有用なモデルだという。
今回、開発に成功したモデルマウスは、既存のモデルに替わる世界標準となる可能性が高く、未解明のアルツハイマー病の病態メカニズムの解明から、予防・治療のための創薬や診断法の開発など、臨床応用のための研究に資する重要な研究ツールやリソース基盤になると期待できるとしている。(編集担当:慶尾六郎)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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