空気の要らないタイヤ、実用化へ

2014年1月25日 18:15

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記事提供元:エコノミックニュース

 近い将来、自動車の常識が大きく変わるかもしれない。

 その理由は、ブリヂストン<5108>が開発している、これまでのタイヤ製品とは全くコンセプトの異なる、空気の要らないタイヤ「エアフリーコンセプト」が、いよいよ現実味を帯びてきたからだ。

 ブリヂストンは2011年に非空気入りタイヤ「エアフリーコンセプト」の開発に成功したことを発表し、その後も改良を続けてきた。そして昨年末、耐荷重性と走行性向上による「機能性の強化」及びCO2排出量削減に向けた「低転がり抵抗性能の追求」を改善した新型の開発に成功したことを発表。第43回東京モーターショー2013でも「第二世代」となる新製品を超小型車に装着して展示し、来場者の注目を集めた。

 「エアフリーコンセプト」には、これまで自動車に限らずほとんどのタイヤの常識だった、空気の入ったゴムチューブは使われていない。その代わりとなるのが、タイヤの外側と内側に60本ずつ、計120本も張り巡らされた特殊形状のスポークだ。樹脂で作られた板状の波打つスポークのお陰で、空気がなくても荷重を支えることができるという。

 このタイヤの優れたところは、空気が入っていないのだから当然、パンクの心配や空気圧の調整が必要ないのはもちろんのこと、スポークの材質にリサイクルが容易な熱可塑性樹脂を採用しているほか、タイヤトレッド部のゴムを含め、リサイクル可能な材料を使用しており、100%リサイクルできることだ。さらに同社の独自技術により、優れた低転がり抵抗性能を追求した結果、CO2排出量削減にも貢献する。

 とはいえ、現状ではまだ、一般的な乗用車に装着するまでには至っていない。一般乗用車用としての普及を目指すのであれば、耐荷重をさらに高める必要があるし、走行性、耐久性の面についても、現行の空気入りタイヤレベルになるにはまだ試験と改良が必要だろう。

 また、素材がいくらリサイクルできるものであっても、その回収システムが確立されていないと意味がない。これも同時に進めていく必要があろう。同社では、これらの課題をクリアし、2020年の本格実用化を目指す。

 一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が公表している「平成24年年末25年年始のロードサービス救援依頼内容」をみると、高速道路での救援依頼内容の第一位はタイヤのパンク(バースト、エア圧不足含む)となっており、その件数は1,140にものぼる。一般道路でも「過放電バッテリー」、「キー閉じ込み」に続く、第三位にランクインしている。走行中のパンクは、とくに高速道路などは大事故にもなりかねない。早くこの「エアフリーコンセプト」が実用化され、パンク事故の件数が減少するのを願うばかりだ。(編集担当:藤原伊織)

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