東京五輪に向けて作られる新国立競技場、コスト高の理由は橋のような構造だった

2014年1月8日 13:34

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記事提供元:スラド

insiderman 曰く、 東京でのオリンピック開催が決定し、それに向けて改築される予定の国立競技場だが、工費が当初は3000億円にも上ると試算され、その高額さが話題となっている。工費の圧縮が計画されているが、それでも本体工事は1395億円(総事業費1699億円)と非常に高額だ(NHKニュース)。

 「広いスポーツ施設」の代表として知られる東京ドームの建設費は約350億円で、また近年の大型工事では東京スカイツリーの建設費は約400億円(総事業費は650億円)。現在建築中で完成すると日本一高いビルになるという、大阪市の「あべのハルカス」の総事業費ですら1300億円と、国立競技場の工費は飛び抜けて高い。

 この理由について、建築家・建築エコノミストの森山高至氏がその理由を考察している(新国立競技場の工事費が下がらない理由)。これによると、高コストの原因は新国立競技場には巨大な橋のような構造が含まれているからだという。新国立競技場のデザインは新国立競技場Webサイトで確認できるが、巨大なアーチ状の構造物で天井を支えるという構造だ。このアーチはその両端でのみ支持される構造で、長さ400mほどの橋(橋梁)だと考えられるという。

 一般的な橋梁はそこまで工費がかかる物ではないが、新国立競技場の場合アーチの曲率が小さいため、たわみを防ぐには大きな強度が必要となるという。そのため橋自体の重量も大きなものになるうえ、港湾にかける橋の場合と異なり水上輸送が利用できず、陸上輸送を行わなければならないという問題もあるそうだ。

 なお、新国立競技場のデザインコンクールにおける講評では「橋梁ともいうべき象徴的なアーチ状主架構の実現は、現代日本の建設技術の粋を尽くすべき挑戦となるものである」とされており、その建築上の困難さは想定内の模様である(ちなみにコンクールの別の入選作に対しては「現実的課題をクリアすることに懸念があり、入選案となった」とされている)。

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