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8万人の賛成署名と、根強い反対 普天間基地めぐる現地世論の分裂に海外メディア注目
アメリカ軍普天間基地の移設問題をめぐって、仲井真弘多・沖縄県知事が、自身の政治生活でもっとも重要な決断を下そうとしている。移設予定地である辺野古の埋め立て申請を、近々承認する予定と報じられている。もし承認されれば、1997年に候補地として選定されて以来、17年間に及ぶ、日米間の重要な懸念の一つが解消することになる。
それに先立ち、安倍首相は、沖縄振興費として、平成24年度から33年度までの10年間、毎年3000億円台を確保する方針を表明した。先ごろ閣議決定された来年度予算案において、一般会計の総額は前年度比3.5%増加のところ、沖縄振興費は15.3%の高い伸びとなっている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙はこれを、首相の「総力を挙げた奮闘」と評している。
【安倍首相の基地問題解決にかける意気込み】
ロイターは、基地問題解決にかける首相の決意に着目する。尖閣諸島をめぐり中国との緊張が高まるなか、首相は、日米同盟の強化と、日本の防衛力の拡充を指針として打ち出している。ここで県の同意を取り付けて、日米間で長く行き詰まりになっていた基地問題を解決することができれば、首相にとって大きな達成となるだろう、とロイターは述べる。
また、首相が沖縄振興策を強化し、米軍用地の環境問題にも取り組む姿勢を見せたことで、仲井真知事が首相を称賛したと伝えている。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、首相が県知事から埋め立て申請の承認を取り付けることができれば、首相自身の力量を示すことになるだろうと評する。しかし、もし失敗すれば、近年でもっとも指導力があり人気が高い総理大臣でさえ、基地問題は解決できないのだと示すことになり、日米同盟の強化を主張する首相にとっては手痛い失点となる、という。
【トップの決断と裏腹に高まる県民の反対論】
沖縄県民のあいだで反対論は根強い。ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によると、現在、日本国内全体の四分の三にあたる34の米軍施設が沖縄にあり、国内全体の70%にあたる約2万8千人の米軍関係者が沖縄に駐留しているという。県民調査では、過去数年来、県民の三分の二が移設に反対している、とタイム誌は報じる。大部分は、移設ではなく、沖縄からの基地の撤退を望んでいるという。同誌は、さまざまな理由から反対運動に取り組む県民の姿を取り上げ、その意図を丁寧に報じている。各紙は、政府と県の基地移設合意の成立以降も、県内でデモなど強い抗議活動が起こる見通しだと伝えている。
しかしながら、必ずしも反対一辺倒で県内の世論が統一されているわけではない。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、基地移設推進派による署名活動では、賛成の署名が8万人分集まり、主催者でさえ驚いたという。主催者の中地昌平氏は、「わたしたちには尖閣諸島と沖縄に目をつけている隣人がいる。海兵隊はわたしたちにとって抑止力。彼らをこんな環境に置いたままにしておくのは非常に危険」と語ったそうである。
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