週刊ダイヤモンド今週号より~花王・カネボウ化粧品統合への険しい道 白斑問題の意外な原因

2013年12月16日 08:03

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記事提供元:フィスコ


*08:03JST 週刊ダイヤモンド今週号より~花王・カネボウ化粧品統合への険しい道 白斑問題の意外な原因
1万6864人もの被害者を出したカネボウ化粧品の美白化粧品による白斑問題。親会社の花王<4452>は、これを機に自社の化粧品事業と一体化させることを決断しました。しかし、問題を拡大させた一因は、花王が買収で欲したカネボウの強み、“販売力”にあったのです。今週号の特集では、花王とカネボウの化粧品事業統合に向けた課題を分析しています。

カネボウが白斑被害を拡大させた原因は何だったのか——情報管理の甘さに加えて、カネボウ内部からは「売り上げ至上主義で販売部門が強くなりすぎたことが問題を大きくした」との声も聞かれるようです。白斑問題の原因となった美白成分「ロドデノール」を配合した商品の発売ペースは「品質保証の常識を無視した異常なものだった(業界関係者)」とのこと。その背景には、消費者にアピールしやすい美白化粧品を欲した販売部門の強い意向が働いていたといいます。

ただ、これだけ広範な被害を出しながらも、カネボウが経営不振に陥らずに済むのもまた、販売部門の力によるところが大きいのです。最前線の美容スタッフが、顧客をがっちりとつかんでおり、別のブランドに乗り換える人は多くないといいます。白斑問題を大きくした一因を持つ販売部門は、カネボウの強みでもあり、花王が4100億円で買収した大きな動機でもあったのです。単純に戒め、組織を解体するわけにはいかない事情がここにあります。

このほかにも、化粧品事業の統合に向けた両社の溝は深そうです。両社は「家庭内別居」と自嘲するほどに、交流や情報交換が乏しいといいます。また、ブランディングが得意なカネボウに対して、わかりやすさを前面に押し出した商品の多い花王というように、ものづくりやブランドに対する考え方もまるで異なっています。

とはいえ、花王の側にも自省の余地はあります。洗剤などの日用品を扱ってきたため、安全性を重視するあまり、販売の「スピード感に欠けていた(花王品質保証本部長)」と自らを省みています。世界に目を転じれば、世界最大手のロレアルなどは高成長を続けており、その差は開く一方。内部的な一体化を早期に進めなければ、花王、カネボウいずれの化粧品事業も色あせかねないと、ダイヤモンド誌では指摘しています。《NT》

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