NYの視点:12月米QE縮小の確率は50%

2013年12月10日 07:03

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記事提供元:フィスコ


*07:03JST NYの視点:12月米QE縮小の確率は50%

17-18日に開催が予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、米連邦準備制度理事会(FRB)は10日からブラックアウト期間に入る。連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される火曜日の1週間前の火曜日から当該週の木曜日までは、FRB高官は、「ブラックアウト期間」として金融政策に関する発言をしてはならないことになっている。ブラック期間に入る直前の講演で、2013年のFOMC投票権を有し量的緩和第3弾(QE3)を支持してきたブラード・セントルイス連銀総裁は「資産購入(QE)の行方は指標次第」としながら、米雇用統計の改善で「FRBがQE縮小に踏み切る確率が上昇した」との見解を示した。ただ、インフレは非常に低いためQE縮小開始時の規模を小規模にとどめるべきだと主張。同時に、FRBはQE縮小が引き締めでないことを市場に再確認していく必要性を訴えた。

ラッカー米リッチモンド連銀総裁は、12月FOMCで量的緩和第3弾(QE3)縮小に関して協議する可能性を指摘。また、フィッシャー米ダラス連銀総裁は、量的緩和第3弾(QE3)のコストが効果を大幅に上回っているため、「FRBはQE縮小をできるだけ早い機会に開始すべきだ」「12月FOMCでQE縮小の余地がある」との見解を示した。ただ、量的緩和第3弾(QE3)が終了後も、政策金利を長期にわたり低い水準で維持する方針を再確認。両総裁は2013年の投票権を持っておらず、タカ派として知られている。

ブラード・セントルイス連銀総裁はまた、資産購入縮小への時間枠設定に反対する姿勢を示した。一方で、フィッシャー米ダラス連銀総裁は「QE縮小の明確な過程を示すことが重要」だと主張。QE縮小と同時に、FRBは方針をより明確化するためにQE終了までの過程、(1)資産購入策の上限を設定、2)縮小ペースと同時に終了までのスケジュール、を提示するとの案が最近浮上した。また、ラッカー米リッチモンド地区連銀総裁は利上げの目安となる経済規準の高頻度の変更に反対。一部では、QE縮小と同時にFRBの緩和姿勢を確認するために引き締めに転じる目安となる失業率規準を現在の6.5%から最低で5.5%まで引き下げるとの案も浮上している。高官らの発言から、12月のFOMCでFRBがQE縮小に踏み切る確率は依然、50%と見られる。引き続き、FRB高官の意見が大きく分かれることは避けられそうもない。《KO》

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