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「生前葬」が静かなブーム? 海外紙は、日本特有の親心と分析
最近、知名度が上がりつつある「生前葬」の日本における歴史は実は古く、江戸時代の文書に記録が残っているようだ。しかし、庶民への認知が広がったのは、90年代から、女優の水の江瀧子を皮切りに、養老孟司やビートたけしなど、有名人が華やかに生前葬を行い、その様子がテレビ中継されるなどしてから。動機としては、「有名人としての自分」を葬り引退するため、自分の主義主張を世に問うため、人々の耳目を集めるためなど、いわば、自分のための「イベント」としての意味合いが強かった。
しかし、今、この「生前葬」が、急速な少子高齢化が進む日本社会において老年層の「庶民」に浸透しつつある裏には、それほど「ポジティブ」ではない理由があると、外国人記者は分析している。日本の新しい「トレンド」は、外国人の目にはどう映っているのだろうか。
【外国人から見た日本の「生前葬」】
記者の分析によれば、現代日本における生前葬は、いわゆる団塊の世代が子ども世代のために行う儀式だという。平均寿命が大幅に長くなった現在、親が、子どもの中年期どころか引退後までも長生きする例も少なくない。
ここで、問題になるのは、老いた親の介護問題と、財産問題だ。老いて、健康をむしばまれた親を自宅で看るのは、子世代には背負いきれない重荷となりうる。さらに、財産に関して言えば、今や日本の「富」の80%は団塊の世代に集中している。購買力において、親世代に到底太刀打ちできない若い世代は、可能性を伸ばしきれないという意味で「育ちきれない稲」にたとえられ「矮化」と呼ばれることもあるのだそうだ。
そして、子どもが罪悪感を抱くことなく、親を施設に入れられるよう――親が、蓄えてきた財産を子世代に渡すことで子を「矮化」させる罪悪感から逃れられるよう――生前葬は執り行なわれる。遺書を用意するのがまれな日本では、財産を整理し、相続にからむごたごたを生前に処理する意味合いもあるという。
【進化する?! 終活ビジネス】
実際、日本では、生前葬も含めた、「終活」が一種のブームとなり、昨年は「流行語大賞」のトップ10にこの言葉がノミネートされるに至った。
少子化によって、死後を「跡継ぎ」にゆだねるというスタイルに無理が生じている表れか、エンディングノートで「遺志」を伝えたり、生きているうちに葬儀や墓の手配をしたりする人が急増しているのは確かなようだ。
これを新たな「ビジネスチャンス」と捉える企業が、次々と業界に参入しているともいう。大手スーパーが終活セミナーを開き、大手旅行会社が都内の納骨堂ツアーを企画し、大手インターネットプロバイダーが終活サイトを立ち上げる。
特に人気は、「後腐れ」のない樹木葬や海洋散骨などのいわゆる「自然葬」だという。日経トレンディは、都立の小平霊園では、昨年、ネムノキなどの落葉樹の下に共同埋蔵施設を設けた「樹林墓地」の応募を募ったところ約16倍の人気になったと伝えている。
ただし、こうした「人生の最後を自分らしく」という願いにつけこむ悪徳業者も増えており、消費者庁には、多くのトラブルが報告されている模様だと大手新聞各社は伝えている。
団塊の世代が老年期に入ろうとしている現在、海外記事でも、欧米での高い注目度や、日本が輸出する新しい「文化」になる兆しが指摘されるこのブームが、当面、下火になることはなさそうだ。
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※この記事はNewSphereより提供を受けて配信しています。
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