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「業績相場」か「逆業績相場」か不透明環境下で敢えて資源関連株に個別アプローチ=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
「業績相場」なのか「逆業績相場」なのか悩ましい。日本電産 <6594> が、今3月期4-6月期(第1四半期、1Q)決算の発表とともに3月通期業績を上方修正して急騰、これをリード株にハイテク株は総買いと身構えたら、翌日にはキヤノン <7751> が、今12月期1~6月期(第2四半期、2Q)決算の開示とともに、12月通期業績を一転して下方修正して急落、途端にハイテク株への警戒感が高まった。
その後も、信越化学工業 <4063> の今期1Q業績が、市場コンセンサスを下回るとして売られる一方、市場予想を上回った日本電気硝子 <5214> がストップ高するなど、主力株は高安マチマチで方向感が定まらないからだ。日本市場に先行して米国市場で始まった主力企業の4~6月期決算の発表も、日本と同様の業績好調企業と不調企業が交錯する「まだら模様」で、これから本格化する日本の主力企業の1Q業績発表の先行きを示唆していそうだ。
7月21日投開票の参議院選挙が、市場の事前観測通りに自民・公明党の与党の圧勝で、「ねじれ国会」が解消し政権運営が安定化、「アベノミクス」の成長戦略が加速して、本格化する1Q決算の発表とともに、「業績相場」のサマーラリーがスタートするとするのが、多くの市場参加者の相場シナリオのはずであった。ところが、主力株の決算発表とともに、このベストの相場シナリオに狂いが生じてしまったようなのである。
目算外れは、またしても国内要因ではなく、海外材料によるものであった。米国の量的緩和策の資産購入規模縮小が後ズレして、緩和策が長期化すると観測されて、為替相場がドル安・円高に反転、さらに中国経済の先行きに不確実性がより懸念されるとして中国株が下落したことが要因となった。要するに二人のキーパーソンの挙動が、株式相場の今後の命運を左右することになったわけだ。FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長と中国の李克強首相の二人で、二人の一挙手一投足が、今後の相場が、サマーラリーの活況を呼ぶのか、バカンス入りの夏枯れ相場を覚悟しなくてはならなくさせるのか注目されることになる。
もちろん、決算発表は始まったばかりで「業績相場」シナリオが、完全に舞台の前面から引っ込んだわけではない。今後も「まだら模様」がより鮮明化しそうな業績環境下で、「個別物色」、「選別物色」が一段と強まり、「勝ち組・負け組」相場の二極化も進むはずだ。ただこの「個別物色」、「選別物色」は、言うは易く、行うのは難しい投資スタンスではある。業績下方修正・不調銘柄を買って、業績上方修正・好調銘柄を売ったりする真逆の銘柄選択に足を取られたりしたら、それこそ目の当てられない結果となり、即、市場撤退に追い込まれ兼ねない。
この「個別物色」、「選別物色」のリスクをより軽減する方向で「材料株」指向が高まる展開も想定範囲内となる。7月30日に3週間ぶりに再開されるIPO(新規株式公開)をキカッケに、IPO株や直近IPO株への集中物色が強まり、さらに交渉参加が実現したTPP(環太平洋経済連携協定)の関連で、今年4月の高値から早期調整入りして休養十分の倉庫株を買い上げる再出番などもありそうだ。そこでである。この一環として、このところまったくマーケットからお呼びが掛からなかった資源関連株に当たりをつけて、「個別株物色」、「選別物色」をすることをセレクトしてみたらというのが、今回の当コラムのテーマである。
資源株は、今年5月のバーナンキ議長の量的緩和策の縮小発言以来、WTI(原油先物)価格が、「リスクオン」から「リスクオフ」に変わって1バーレル=90ドル央で推移し、ここにきて「リスクオフ」の巻き戻し期待と中東のシリア内戦、イランの核問題、エジプトの反政府デモなどの政情不安などで100ドル台央まで上昇しているが、株価は、今年6月安値からは日経平均株価の反発率を下回る限定的な反応にとどまっている。FRBが、7月30日~31日に開催するFOMC(公開市場委員会)で量的緩和の長期化を示唆するようなら、巻き戻しの増勢とともに、資源株への注目度もアップするというものである。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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