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エジプトで武力衝突 新政府樹立か、第二のシリアとなるか?
エジプトでは、6月30日から反大統領デモが拡大し、ついには軍部がモルシ大統領の権限を剥奪した。暫定新政権が宣言された後も、モルシ支持派と反対派が対立を続けている。
首都カイロでは8日午前、治安部隊が、大統領警護隊本部前のデモ隊に発砲。少なくとも51人が死亡、435人が負傷したと報じられている。なお治安部隊側も、将校1人ないし2人が死亡、42人が負傷したと伝えられている。
海外各紙は、混迷を深めるエジプト情勢の今後について報じている。
【治安部隊の「虐殺」? 食い違う両派の言い分】
大統領派のムスリム同胞団は、負傷者の大半は頭部を撃たれ、また体内で炸裂する銃弾(※国際法では使用禁止とされるダムダム弾か?)が使用されたと「虐殺」を主張し、抵抗継続を呼びかけている。
同胞団系の自由公正党は、エジプトが「新たなシリア」となる懸念を訴えて国際社会の介入を求めた。同党に次ぐイスラム政党・ヌール党も、新政府との対話を拒否する姿勢を示した。
一方、軍は治安部隊を擁護し、デモ隊側からの攻撃に対して自衛のため応戦したものと主張、証拠映像を提示した。
しかし、同胞団は、この映像を捏造であると一蹴した。
なおエジプト内務省は「エジプト警察は人民の部隊です」と語り、いずれへの肩入れも否定した。
暫定政権は「深い遺憾」を表明し、事件を調査する司法委員会を立ち上げたと発表した。
しかしフィナンシャル・タイムズ紙は、司法界にはムバラク政権時代の任命者が多く、モルシ派側からは信用されていないと指摘している。
【新政府のスケジュール】
新政府への移行を目指す暫定政権は、2週間後に憲法制定会議を発足、4ヶ月後に憲法案の国民投票を行い、議会選挙は2月までに、その6ヶ月後には大統領選挙を実施すると約束した。
しかし、治安部隊による同胞団の大量検挙がなおも続き、今回のように武力衝突がエスカレートする中、各紙は先行きを不安視している。
エジプトの株式市場もこの日、融資交渉や観光業への打撃など経済への悪影響を懸念して、3.5%下げで終えた。
【米国の本音と建前】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は米国の態度に焦点を当てた。
米国はどちらも明確には支持せず、そのため両側から批判されている。
同胞団に接触して政治対話復帰を促す一方、「それがクーデターだと思わなかった人々が何百万人もいた」と述べて、軍の権力掌握を「クーデター」と表現することを避け続けている。クーデター認定をしてしまうと、米国の法制上、エジプトへの経済援助を打ち切らざるを得なくなり、将来の同国への影響力を失う懸念があるためだ。米議会もエジプトへの経済援助続行を望む声が多数だという。
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※この記事はNewSphereより提供を受けて配信しています。
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