ソユーズ2.1bロケット、偵察衛星ペルソナの2号機を打ち上げ

2013年6月9日 19:15

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記事提供元:sorae.jp

Image credit: Ministry of Defence of the Russian Federation

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  ロシア航空宇宙防衛軍はモスクワ時間6月7日22時37分(日本時間6月8日3時37分)、軍事衛星を搭載したソユーズ2.1bロケットを、ロシアのプレセツク宇宙基地の43/4発射台から打ち上げた。ロケットは正常に飛行し衛星の分離に成功、また6月8日0時13分には衛星との通信の確立にも成功し、衛星の状態にも問題がないことが確認された後、この衛星にはコスモス2486の呼称が与えられた。

  コスモス2486の正体はペルソナと呼ばれる最新鋭の光学偵察衛星で、高度約700kmから、解像度50cmの写真を撮影することができる高い性能を持っていると言われる。高度700kmというのは光学偵察衛星としては比較的高い数字で、この場合対象物をより長時間見下ろせるという利点があるが、その反面解像度が落ちてしまうので、高い解像度を維持するために高性能な望遠鏡やカメラを搭載しなければならない。

  ペルソナはソユーズロケットや地球観測衛星の製造などを手掛けている、ロシアのTsSKBプログレス社によって開発された。同社は1980年代にサプフィールと呼ばれる、高度1万から2万kmという極めて高い軌道から地上を監視する偵察衛星の構想を立ち上げ、その後ソ連の崩壊などが原因で計画は中止されたが、その概念や培われた技術は、このペルソナへと受け継がれている。

  ペルソナの開発は2000年にロシア政府よって承認されたが、要求される技術の高さや資金不足もあって開発は難航し、1号機が打ち上げられたのは2008年であった。しかしわずか2ヵ月後に電気系統が故障し、機能喪失する。一説によるとその原因は、コスト削減のために低品質の輸入品を使ったからだとされる。2号機では電気系統に大幅な改修が施され、また推進システムにも手が加えられた可能性が指摘されている。

  ロケットからの分離時点でペルソナ2号機は近地点高度187km、遠地点高度703km、傾斜角98.3度の軌道に乗っており、今後衛星のスラスターを使い、高度700kmから720kmの円軌道へと変更されることになろう。

  しかし偵察衛星として運用するのであれば当然ながら1機では不十分であり、ある一定の場所を定期的かつ長期間に渡って監視し続けるために、複数機配備する必要がある。ノーボスチ・ロシア通信社は、今年中もしくは来年初頭にも3号機の打ち上げが計画されていると報じているが、それ以上の機体の製造や打ち上げについては情報は流れていない。

  TsSKBプログレス社はレスルスPと呼ばれる民間向けの地球観測衛星を開発し、今月末にも打ち上げられる予定となっている。先代のレスルスDKも民間向けではあるが、国防省を含むロシア政府機関も利用していることが知られており、レスルスPもまた同様に運用されることになろう。またNPOマシノストロィエニヤ社は民間向けの光学、レーダー衛星のコンドルシリーズを開発しており、またNPOラーヴォチキン社はアラークスRと呼ばれる偵察衛星を設計中であると報じられており、ロシアの偵察衛星群はペルソナだけで構築されるのではなく、多種多様な衛星を混在させることで必要な水準を達成することになるのかもしれない。

 ■Наземные средства Войск ВКО взяли на управление космический аппарат военного назначения : Министерство обороны Российской Федерации
http://structure.mil.ru/structure/forces/cosmic/news/more.htm?id=11771872@egNews

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