メールを禁止することでメールを管理する?

2013年5月26日 22:58

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 みなさんはEメールなしで1日を過ごす自分が想像できますか。もし会社全体で1週間に1日、金曜日はメール処理を禁止する、としたらどうでしょうか。

 大多数の人の反応は、まず、即反対でしょう。筆者のタイムマネジメント・セミナーでは、1日を通してメール処理で様々な作業を中断されるのではなく、その処理のために毎日一定の時間を設定してはどうかという考えを持ち出しただけで、冒頭の強い拒否反応が示されます。

 反対する理由は、未処理の仕事が残ってしまうのではないかという恐れから企業文化で期待されているからというものまで、幅広くあります。

 講習会では、参加者と共にこのことについて話し合ってそれぞれの状況に取り組みますが、実際に問題となるのはけっこうな数の人がメール中毒にかかっていることです。

 2007年にスコットランドのグラスゴー大学で行われた研究によると、多くの人は1時間に30~40回の頻度でメールをチェックしていることが明らかになっています。

 中毒になっている人は、もしメールプログラムの故障で1時間もしくは1日メールを受信できなかったら、禁断症状に陥る可能性があります。本当にメールの使用を禁止されたら、禁止された時間にこっそりチェックしようとさえするかもしれません。

 しかし、このメールがコミュニケーション手段として活発に利用されることで、引きおこされる問題がいくつかあるのも確かです。

・たくさんのメッセージをやり取りする中で、問題に真正面からぶつかるよりそれを避ける手段になる可能性がある。
・対面接触の機会が減少するので、下手に送ってしまったメッセージが人間関係を険悪にしてしまいかねない。
・メール処理は週末にまで食い込み、従業員を仕事に縛り続けてしまう。

 ある一定の時間メール使用を禁止する制度を設けてしっかりと守っている会社は、それが生産性を付加する強力な手段になりうることに気が付いています。当初は抵抗を示していた従業員でさえも、違いになじんだあとはその有効性を認めています。いくつかの成果をご紹介しましょう。

・細かなプロジェクトに集中する時間をあらかじめ決めてとることができるようになった。
・直接回答を得たり問題を解決したりするために、従業員間の相互交流が増えた。
・従来送っていたメールには送る必要のないものもあったことに従業員たちが気付き、通常の勤務時間内で送信されるメッセージの数が減少した。

 御社のスタッフ・ミーティングでも1度この問題を検討してみてください。たとえあなたが個人事業主だったとしても、1度試してみる価値はあります。一ヶ月かそれ以上試験的に行ってみて、生産性の水準がどう変化したか評価してみてください。

※この記事はKey Organization Systems提供の記事を財経新聞が日本向けに翻訳・編集したものです。

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