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次世代住宅HEMSに秘められたビジネスの可能性
住宅の購入を検討している人、そして住宅を販売する側の人たちにとっても、今や「省エネ」対応住宅は特別な仕様ではなくなり、常識にすらなりつつある。
そんな中、ITやセンサーの技術を活用して、住宅のエネルギー管理を効率的に行い、省エネに貢献する、ホーム・エネルギー・マネジメント・システム「HEMS」(ヘムス)を導入する住宅が増えている。
HEMSは大きく分けて、「表示」と「制御」の2つのアプローチで電力消費の最適化を行うシステムだ。まず、いつ、どこで、どれだけのエネルギーが何に使用されているかを表示して「見える化」することで消費を抑制し、エネルギー消費量を自動制御し、一括管理することで消費電力そのものの無駄をカットする。
政府も震災以前からHEMSの普及促進を図っており、2002年には「地球温暖化対策推進大綱」、08年に改定された「京都議定書目標達成計画」でも、HEMSの開発・普及の重要性が盛り込まれている。
消費者もメーカーも、そして政府も、システムの重要性と必要性はわかっているが、これまで普及がなかなか進まなかったのは、コストの問題が大きく立ちはだかっているからだ。システムを導入するためには当然、高額の費用がかかる。省エネが必要なのはわかっていても、家計を切り詰めてまで高価な管理システムを導入しようという人はまれだ。
しかし、震災以降、一般家庭の電力消費に対する考え方に少しずつ変化が見られるようになった。それにつれ、勧める側のハウスメーカーや電気メーカーも提案しやすくなった。
HEMSはこれまで、パナソニック<6752>や東芝<6502>、三菱電機<6503>、NEC<6701>などの大手電機メーカーが市場を牽引してきたが、大きなビジネスの可能性を秘めていることから、意外な業界からのHEMS導入住宅事業への参入も目立つようになってきた。例えば、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ<9437>がその顕著な例だ。
ドコモは4月23日、一般社団法人仙台グリーン・コミュニティ推進協議会の委託を受け、太陽光発電や電気自動車の蓄電池など5種類の電源に対応し、停電時にも電力供給をすることができるHEMSを開発したことを発表した。なお、このドコモ製のHEMSは、総務省の被災地域情報化推進事業として仙台市が実施している「平成24年度仙台市エコモデルタウンプロジェクト推進事業」において、仙台市田子西地区の16戸のスマートハウスに設置される。
また、半導体メーカーのローム<6963>も、5月24日から26日の期間、東京ビッグサイトで開催された「朝日 住まいづくりフェア2013」のブースにて、スマートライティングをテーマにしたHEMSシステムを紹介し、注目を集めた。
多くの関連企業がHEMSシステムを次世代住宅の標準設備と位置付け、それぞれの特色を出そうと動き始めている今、資産価値としてもHEMSシステムの有無は住宅購入の際の重要なファクターと考えられる。
もちろんHEMSだけでなく、エネルギー管理システム全体が過渡期にあり、技術も日進月歩で進化を遂げている。環境や節電、省エネの観点だけでなく、ビジネス面でも、これからの動向には最新の注意を払っておくべきだろう。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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