軽自動車メーカーに良心と気骨はあるか?

2013年5月19日 16:45

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記事提供元:エコノミックニュース

N BOXとスペーシアで分かった、ユーザー・オリエンテッドな企業が評価されるということ

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「N BOXとスペーシアで分かった、ユーザー・オリエンテッドな企業が評価されるということ」

 2012年、トールワゴン系軽自動車販売台数ナンバーワンを記録したのはホンダN BOX。リア・スライドドアの利便性と室内空間の広さが身上で、各軽自動メーカーが挙って参入する激戦区だ。このホンダN BOXに対抗するのが、パレットという人気車を引き継いだ、2013年3月発売のスズキ・スペーシア。しかし、2007年にデビューし、2013年秋にはモデルチェンジが噂されるモデル末期のダイハツ・タントも2012年に軽自動車4位にいる。この3台がリア・スライドドアを採用する軽自動車トールワゴンのベスト3である。

 直近のデータ(全日本軽自動車協会)で見ると2013年4月販売実績で、N BOX(16382台/2013年の累計で軽自動車トップ)、タント(9532台)、スペーシア(8112台)である。

 軽自動車枠ギリギリまで使ったパッケージングは3台とも同じで、室内の広さに大きな違いはない。車両ディメンションも似たようなものだ。なのに、いちばん新しく新車効果があるはずのスペーシアの苦戦、絶好調のN BOX、善戦といえるタント、何故3台にこれほどまでの販売台数の差が出たのだろう。

 リア・スライドドアの軽トールワゴンが生まれたのは、軽自動車のコマーシャルバンを化粧直しして乗用車としたのが始まり。とにかくたくさん荷物を積むことが目的だった商用車の“箱型”ボディは、乗用車としても使い勝手が良かった。だから、タントの先祖を探るとダイハツ・ハイゼットに行き着き、スペーシアのルーツはスズキ・キャリィ(現・エブリィ)となる。伝統ある商用車種なので、そのデビューは1960年代だ。そこから派生した乗用車はモデルチェンジのたびに進化し、リア・スライドドアは左右両側に付き、上級ミニバンのような電動式ドアまで現れた。

 このリア・スライドドアの軽自動車トールワゴン3台の販売台数の違い、その要因を探ってみよう。

 

 まず、スズキ・スペーシアだ。従来のトールワゴン、スズキ・パレットの後継車種として2013年3月15日発売デビューした、3台のなかでもっとも新しいモデルだ。車両寸法は軽自動車枠いっぱいの全長×全幅×全高3395×1475×1735〜1740mm。パワーユニットはライバルとほぼ横並びで、3気筒エンジン、NAエンジンの出力&トルクは52ps/6.4kg.mで、ライバルと大きな違いはない。トランスミッションはごく普通のCVTで、軽自動車のスタンダードである。このスペーシアの大きなメリットは燃費。最新モデルらしくカタログ値でJC08モード29km/リッター(NA・FF車)だ。燃費は運転の仕方や用途で大きく左右されるとはいえ、このカタログ値は3台のなかで最良値。ホンダN BOXの24.2km/リッター、ダイハツ・タントの25km/リッター(ともにNA・FF車)と比べて優秀な値となっている。

 

 スペーシアで優秀なのはもうひとつ。後席へのアクセスに影響するステップ高が340mm(N BOX:380mm/タント:370mm)ともっとも低いことだ。これは小さな子供やお年寄りに優しいといえる有効な武器。新型車として設計の新しさが功を奏した恰好だ。

 ダイハツ・タントは2007年デビュー。3台のなかでもっとも古いモデルである。すでにデビュー後6年、2013年秋には新型にスイッチする予定だ。そうした意味で熟成の極みに達しており、トラブルフリーで付き合えるモデルだろう。加えて、値引き額は3台中いちばん大きいかも知れない。ボディサイズはスペーシアとほぼ同じで、搭載する3気筒エンジン、NAエンジンの出力&トルクは52ps/6.1kg.mとスペーシアとほぼ同じ。CVTによる走行燃費は前述のとおり。タントのハイライトはTV・CMでおなじみの助手席側センターピラーレスという独自のレイアウト。これに助手席前後スライド(240mm)と後席前後スライド(260mm)を組み合わせると後席へのアクセス、荷物の積載に便利な構造だ。これは後席にチャイルドシートを装着して保育園などの送迎に使う主婦層に圧倒的に支持されているレイアウトだ。

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