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水道やガスも「見える化」するHEMS、その課題は
スマートハウスの普及や節電に関する情報の増加、政府のグリーン政策大綱において2030年に全家庭への普及が目標とされたことなどから認知度の増したHEMS(Home Energy Management System)。センサーやITを活用し住宅のエネルギー管理を行うこのシステムは、基本的に電気が対象となっている。
こうした中総合住生活企業のLIXILが、住宅の電気、ガス、水道すべてのエネルギー使用量と、太陽光発電システムなどによる発電量、売電量を1台で見える化するHEMS「みるる」を4月から発売すると発表。専用のタブレット端末と無線通信技術を組み合わせることで、従来各機器を接続するための配線工事を最小限にし、新築だけでなくリフォームや既存住宅への後付けにも簡単に対応できるという。また、冷蔵庫やエアコン、テレビなど、最大29個の家電製品を個別に計測できるほか、部屋単位などの計測も可能とのこと。
このHEMSの特徴は何と言っても、電気の使用量メーター、発電量、売電量などのエネルギーを見える化するだけでなく、ガス、水道も専用の機器を用いることで、住宅のエネルギー全体を見える化することが可能である点であろう。ガス・水道の測定には事前に各事業者への確認が必要だというが、環境問題や資源の有効活用・省資源化を図るとなれば、不可欠と言える性能であろう。
水道やガスといったエネルギーまで見える化を実現し、容易に導入できるHEMSという点では評価に値する。しかし難点としては、すべてが「見える化」のみの実現であり、適切なエネルギー制御を実行するシステムではないことが挙げられるであろう。震災の記憶が新しい今だからこそ「見える化」のみのシステムであろうと、その高まった意識の延長で省エネ化に繋げられる。時間を経るにつれ、その意識が薄くなっていくことは想像に難くない。そうなった時、果たして「見える化」のみの機能は有用であろうか。家庭のエネルギーを「マネジメントする」システムと、「マネジメントするための」システムとでは、大きく意味が異なる。今、普及を求められるべきは前者のシステムではないだろうか。(編集担当:井畑学)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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