ブリヂストン、イタリアで乗用車用ラジアルタイヤ工場閉鎖へ

2013年3月5日 11:00

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 ブリヂストンは5日、同社のグループ会社であるブリヂストン・ヨーロッパ(BSEU)が、ブリヂストン・イタリア(BSIT)が保有するバリ工場を閉鎖することを決定したと発表した。操業停止時期は2014年上期中の予定。

 バリ工場は1962年に操業開始した乗用車用ラジアルタイヤ(PSR)工場であり、主に汎用PSRを生産している。なお、BSEUはベルギーのブリュッセルに本社を構える欧州統括会社であり、BSITはイタリアで事業活動を展開するBSEUの100%子会社。

 近年の欧州経済不況の影響で、欧州におけるPSRの需要は2011年から2012年にかけて約13%減少しており、第三者機関の調査によると、2020年までに2011年以前のレベルに戻ることはないとの予測もある状況だという。さらに、汎用PSRについては、コスト競争力を強みとする新興国メーカーなどが大きくシェアを伸ばしているという。

 一方で、ランフラットテクノロジー採用タイヤ、UHP(超高性能)タイヤ、ウインタータイヤといったPSR戦略商品の需要は堅調な伸びを示しており、BSEUにとっては欧州での生産品目を戦略商品にシフトしていくことが急務となっている。しかし、バリ工場は製造設備など生産面での制約から汎用品PSRを主力生産品目とした工場と位置付けられており、こうした戦略商品への生産シフトは難しく、さらに、物流費や光熱費が他工場と比較して高水準であるなど、コスト面において非常に厳しい状況にあった。

 これまでブリヂストンは、バリ工場でも競争力強化に向けて様々な努力を行ってきたという。しかし、需要構造の変化や汎用PSRにおける新興国メーカーなどの台頭、物流費や光熱費の高コストにより、今回最終的に工場を閉鎖せざるを得ないという結論に至った。

 同工場では約950人の従業員が就業しているが、BSEUでは従業員とその家族および地域社会に対する影響が最小限に止まるよう、協議と対話をしていくとしている。

 なお、イタリア国内では、BSITがタイヤ生産の他に南欧の販売・マーケティング拠点として事業展開しているのに加え、ブリヂストン・テクニカル・センター・ヨーロッパが欧州における研究開発の中核の役割を担っているが、これらの事業体については、引き続きブリヂストングループの重要拠点としてイタリア国内での事業を継続していく方針。

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