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女性の賃金が過去最高に 一方で拡大する「女女格差」
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査 」によると、フルタイムで働く正社員の賃金は男性で32万9000円、女性は23万3100円となり、女性は1976年以降で最高となった。女性の賃金は20年前まで男性の約6割にとどまっていたが、今回の調査では7割まで上昇。少しずつではあるが男女間の格差が縮まりつつある。
特に伸びているのは「情報通信業」や「卸売業・小売業」「生活関連サービス業・娯楽業」で働く女性の賃金だ。特に情報通信業の女性の賃金は前年比4.8%のプラスで、全ての業種の中で最も大きく伸びている。
一方で、昨年には「男性不況」という言葉が話題となった。永濱利廣著『男性不況――「男の職場崩壊」が日本を変える』(東洋経済新報社)によると、グローバル化や少子高齢化によって男性の就業者数が多い製造業や建設業などの雇用が失われ、男性の失業率は上がっている。一方で女性の従業者が多い医療・福祉分野では雇用が増えている。
女性にとって比較的“有利な”仕事である「医療・福祉」分野の雇用が増えていくのは事実だが、同分野で働く女性の賃金が他業種と比べて、目立って高いわけではない 。
女性の賃金が上昇しているさらに大きな要因は、進学率が向上し働く大卒女性の数が増えているためだ。興味深いことに、1985年と2010年を比較すると高卒女性も大卒女性も男性との賃金格差が小さくなったという事実はないのに、全体としては男女の賃金格差が縮小している。それは相対的に賃金の高い高学歴女性が増えたからだ。女性労働者に占める大卒者の割合はこの25年間で18.3%から52.3%へと34ポイントも増加している 。
逆に言えば、男女間では格差が縮小したが、女性の間で学歴や職業などによる「格差」は以前よりも広がっている可能性もある。単身で暮らす20~64歳の女性の3人に1人は貧困状態であり、その比率は男性の25%よりも高い 。安定した所得が保障されている女性とそうでない女性の間で、「女女格差」が拡大していると見ていいだろう。
「男性不況」も深刻だが、要は男女関係なく、学歴や職業などによる格差は拡大しているのだ。
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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