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飯野海運は急反落も海運株は「動く不動産」の評価も=浅妻昭治
<マーケットトーク>
飯野海運 <9119> は、18円安の444円と5日ぶりに急反落して始まっている。今年1月31日にこれまで2回下方修正してきた今3月期業績を一転して上方修正、純利益の黒字転換幅を拡大することを手掛かりに前日ザラ場に昨年来高値468円まで買い進まれおり、きょう寄り付きは利益確定売りが先行している。
同社の年初来高値更新は、海運大手2社の日本郵船 <9101> 、商船三井 <9104> が、今3月期業績を相次いで2回も下方修正し、株価が下ぶれたのに対して逆行高したものだが、逆行高の裏には、「アベノミクス」の金融緩和策を背景に、同社の保有する飯野ビルディングなどの含み益をテコに不動産関連株人気が底流していることも要因となっている。海運株は、「動く不動産」といわれる本業の固定資産の船舶を評価するか、文字通り「動かない不動産」を買うかで強弱感が分かれたことを示唆した。
海運株は、もちろん保有する船舶を世界の海で稼働させ収益を稼ぐのが本業である。固定資産の船舶が「動く不動産」といわれる理由である。ところが、この固定資産は、海運不況時は逆に経営の重荷となる。海運市況が低迷するなかで船舶を稼動させれば赤字となり、不稼働となれば減損損失処理を余儀なくされるからだ。日本郵船、商船三井が、今期業績を2回も下方修正したのは、円高進行とともに、欧州経済危機、中国景気失速による海運市況の低迷が要因となった。
このなかで飯野海運は、昨年7月、10月と下方修正してきた3月期業績を今年1月に一転して上方修正し、純利益は、15億円(前期は42億9400万円の赤字)と黒字転換幅を拡大し、未定と変更していた期末配当も、4円(前期実績2円)として実施する。為替の円安転換とともに、外航海運業の業績が、ケミカルタンカーを中心に10~12月の業績が前回予想を上回ったことが要因で、これを下支えしたのが同社の不動産事業の堅調推移である。今期第3四半期で、外航海運業の営業利益は、1億8600万円の損失となったが、不動産業の営業利益は、30億4000万円と大きく稼いだからだ。
同社は、1997年に不動産子会社の飯野不動産を合併し、2009年には飯野ビルの再開発に着工、この飯野ビルが、経済産業省とは道路を隔てて真向かいに位置する好立地を活かして2011年10月に満室開業、以来、業績に貢献している。
海運大手も、こうした展開では先行性がある。日本郵船は、不動産子会社を経営統合して東京丸の内のお堀端に位置する歴史的建造物だった郵船ビルを再開発し、商船三井も、上場不動産会社のダイビル <8806> (大1)を2004年10月に連結子会社化しており、海運株は、「動く不動産」、「動かない不動産」のどちらがテーマとして表面化するかは、今後の「アベノミクス」の金融緩和策、日銀総裁の後任人事次第となりそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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