三菱商事と昭和電工、ナノテクノロジー素材「フラーレン」で戦略的事業提携

2013年1月9日 12:36

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フラーレン(画像:三菱商事)

フラーレン(画像:三菱商事)[写真拡大]

 三菱商事と昭和電工は9日、ナノテクノロジー分野で注目される炭素素材「フラーレン」の事業化に向けた戦略的事業提携を行うと発表した。

 また、同事業提携に基づき、昭和電工はフラーレンの製造販売会社であるフロンティアカーボン株式会社(FCC社)の株式50%を三菱商事より譲り受け、FCC社は両社の共同運営会社となった。

 フラーレンは、直径1ナノメートル(100万分の1ミリメートル)のサッカーボール状の分子。有機溶媒に溶け、かつ優れた電子受容性を持つ分子であることから、エレクトロニクス分野、特に有機薄膜太陽電池の負極材などの有望素材として期待が寄せられている。

 昭和電工は、フラーレンと並ぶナノ炭素素材であるカーボンナノチューブ(製品名:VGCF)で10年以上の量産実績があり、VGCFで培ったナノ技術がフラーレン事業化に応用できると判断し、今回の提携を決定した。今後、FCC社と共同でフラーレン事業化に向けた必要な研究開発・マーケティングを進めていく。また、三菱商事は、フラーレンの製造実績と関連特許、販売ネットワークを保有しており、両社が提携することで技術面・販売面双方で高い相乗効果を発揮しながらフラーレンの事業化を加速していく。

 昭和電工は、すでにリチウムイオン電池等で広く使用されているVGCFに加えて、今回提携を決定したフラーレン事業を加速することにより、ナノ炭素素材関連の事業拡大を図る。また、三菱商事は、産業分野での技術革新を実現する可能性のある素材を扱うことで新たな事業の創造に繋げていくことを狙う。

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