ヤフー、サイバーエージェントFXを210億円で買収 金融事業に本格参入

2012年12月12日 18:32

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 ヤフー(Yahoo!JAPAN)は12日、サイバーエージェントの100%子会社でFX(外国為替証拠金取引)サービス事業を行うサイバーエージェントFXの全株式を取得し、同社を買収すると発表した。株式の取得価額は210億円。Yahoo!JAPANはサイバーエージェントFXの買収により金融事業に本格参入する。

 サイバーエージェントFXは、サイバーエージェントの100%子会社としてFXサービスを提供している。2009年10月に提供を開始したiPhoneアプリ「iPhone Cymo」を皮切りに2011年2月にはAndroid版をリリースし、機能面でもシンプルで直観的な操作性を実現するなど高水準なスマートフォンツールに強みを持っている。

 Yahoo!JAPANは、決済・金融事業を同社のさらなる成長に向けた今後の新しい事業の柱にしていく考え。従来はYahoo!ウォレットなど決済事業が中心だったが、事業強化の取り組みの一つとして金融事業の中でも成長分野の一つであるFX事業に参入するべく、今回、業界大手のサイバーエージェントFXを完全子会社化することとした。

 これにより、金融事業や金融システム開発のノウハウを取り込むことで時間的、コスト的にも効率化を図ることができ、FX事業へのスムーズな参入が可能になる。また、サイバーエージェントFXの強みであるスマートフォンの取引ツールを活用し、「スマートフォンファースト」を事業方針に掲げるYahoo!JAPANがスマートフォンでの利用者増加をさらに推進していく。

 また、Yahoo!JAPANがFX事業に参入することにより、同社の既存事業とのシナジー効果が期待できる。Yahoo!JAPANでは、有料会員サービス「Yahoo!プレミアム」を展開し、会員向けに様々なサービスや特典を提供しているが、今後は会員への投資商品の案内などこれまでにない新たな特典を追加することで満足度の向上に繋げていく。

 また、Yahoo!ポイントについても取引の度にポイントが貯まるようにするなど、Yahoo!JAPANならではのサービス向上にも取り組んでいく予定。さらに、Yahoo!JAPANの集客力を活用した効果的なプロモーションを行うことでサイバーエージェントFX利用者のさらなる増加に繋げていく。

 一方、サイバーエージェントは、「選択と集中」という観点から、今後はスマートフォン向けコミュニティ&ゲームSNS「Ameba」を注力事業とし、インターネット広告事業、SAP(Social Application Providerの略称)事業、投資育成事業に絞り事業展開していく方針。

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