ホンダの四輪車販売、2016年度に全世界で600万台以上へ 伊東社長が会見

2012年9月24日 11:11

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 ホンダの伊東孝紳社長は21日、都内の本社で記者会見を行い、同社の四輪車事業について、2016年度に、成熟市場では昨年度の約206万台から300万台以上へ、新興国市場では昨年度から倍増の300万台以上に拡大し、先進国での事業の磐石化と新興国での飛躍的な成長により全世界で600万台以上の販売を目指すと発表した。

 この目標達成に向け、ホンダは、2013年から発売する新型フィット(ジャズ)シリーズでグローバルオペレーション改革を推進し、それぞれに個性のちがうフィット(ジャズ)、シティ、小型SUVを、2年以内にグローバルで展開していく。

 具体的には、成長著しい新興国でも先進国同様に、その国や地域の産業インフラに適合させながら様々な市場ニーズにスピーディーに対応していく。そのために、各地域が初期段階より同時に同レベルで開発に参画する「6地域同時開発」を進める。短期間で各地域に同一モデルを投入することで、早い段階からグローバルでまとまった生産台数を確保する。また、これらの部品を最も競争力のある地域でまとめて作ることにより、調達価格を大幅に引き下げる。

 一方で、各地域の調達・生産インフラを最大限活用しながら、その地域の顧客の声に直接応える商品を創造するために「現地最適図面」を採用し、顧客の喜びを最大化することに努める。また、2013年7月稼働の寄居(埼玉県)や2014年春稼働のメキシコなどの新工場は小型車専用とすることで「生産効率向上」をはかる。

 日本では、生産体制の進化と軽自動車を含めた小型車のラインアップ強化により、持続的に成長していくことを目指す。生産領域については、今年4月より開発・調達・品質部隊が鈴鹿製作所に集結し、スピーディーで高効率な開発・生産体制を構築した。軽自動車をメインに生産しながら、自己完結できる体制作りを進めている。今後、11月に発売のNシリーズ第三弾「N-ONE」を皮切りに、2015年までに新たに軽自動車を6モデル追加する。

 埼玉製作所では、寄居、狭山各々に特徴を持たせ、得意分野を強化していく。寄居工場では新型フィットシリーズなどの小型車を集中生産する予定。狭山工場では、2本ある生産ラインの一部を集約するなどして多機種生産をさらに進化させ、10機種以上を混流生産できる高効率体制を確立していく。

 北米においては、販売好調なシビック、CR-V、オデッセイに加え、今月、新型アコードを発売した。これら中核モデルの販売強化に加え、2014年春に稼働するメキシコ新工場では新型フィットおよび派生モデルを生産する。モデルラインアップの拡充と競争力強化で北米事業を磐石なものとする。

 中国では、現地開発力の強化を行いながら、より中国の顧客にフォーカスした商品の投入を行っていく。2013年からの3年間で、Hondaブランドは10機種以上のフルモデルチェンジや新機種投入を予定している。さらに、自主開発モデルを引き続き投入するなど、ラインアップを強化していく。また、世界で最も厳しい燃費規制が導入される中、ハイブリッドなどHondaが得意である環境技術を積極的に投入し、さらなる競争力の強化を行う。

 アジアでは、競争の激しい低価格車市場で勝ち抜き、多様な顧客のニーズに応えるべく、新型フィット(ジャズ)シリーズに加え、アジア戦略車である「ブリオ」のプラットフォームを活用し、セダンタイプや多目的タイプを追加していく。タイ、インドネシア、インド、マレーシアを中心とした域内相互補完体制を強化しながら、これらの販売を伸ばしていくことでさらなる発展を目指す。

 インドでは、新型ディーゼルエンジンを2013年度以降発売するモデルに順次搭載していく。低燃費はもちろんのこと、現地調達、現地生産によりコスト競争力を高め、低価格で提供する。

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