日産、「NV200ロンドンタクシー」を公開 ディーゼルとEVの2タイプ

2012年8月6日 23:21

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NV200 ロンドンタクシー(写真:日産自動車)

NV200 ロンドンタクシー(写真:日産自動車)[写真拡大]

 日産自動車は6日、ロンドン名物の黒塗りタクシー「ブラックキャブ」の未来の形を提案し、「NV200 ロンドンタクシー」を公開したと発表した。

 2013年にロンドンでの実証運行を予定している「NV200 ロンドンタクシー」は、ディーゼル車と100%電気自動車の2つのタイプを用意。現行のロンドンタクシーに比べ大幅なCO2排出量の削減を達成し、ボリス・ジョンソンロンドン市長が掲げる大気環境改善に関する政策に寄与するものとなる。なお、同市長は、障害者団体や大きな影響力を有するロンドンタクシードライバーズ協会とともに、日産の「NV200 ロンドンタクシー」の投入を歓迎している。

 「NV200」のタクシー仕様車は、昨年、米ニューヨークの次世代イエローキャブに選定され、今年に入り、そのコンセプトモデルがニューヨークモーターショーや日本の日産グローバル本社などで公開されており、「NV200 ロンドンタクシー」はその流れに続くものとなる。また、「NV200 ロンドンタクシー」の電気自動車は、100%電気商用車「e-NV200」をベースとし、現行のロンドンタクシー(ディーゼル車)との比較で約5分の1のランニングコストを実現する。

 2009年のデビュー以来、約40カ国で10万台以上を販売し、世界各地で数々の賞を受賞している多目的コンパクトバン「NV200」をベースとして誕生する「NV200 ロンドンタクシー」は、優れた耐久性と信頼性を伴い、5人の大人が快適に乗車できるものとなる。後部座席に3人乗車でき、その後部座席に対面して座れる折りたたみ式の座席が2つある。また、助手席はとりはずされて荷物用スペースとなる。

 特筆すべき装備であるスライドドアは、乗客の乗り降りを容易にすると同時に、通常のヒンジドアと比べ、不意な開閉による歩行者・自転車等への衝突リスクの軽減にもつながる。

 さらに、「NV200 ロンドンタクシー」のディーゼル車は、最新型の現行ロンドンタクシーTX4型に対し、より競争力のある価格で提供される。89馬力を生み出すユーロ5対応1.5リッターdC1ディーゼルエンジンは燃費53.3mpgを実現する。これはTX4型(35.3mpg)に対し、約50%もの改善となる。

 なお、日産は、これまでのロンドンタクシーの歴史においても存在感を示してきた。2.7リッターTD27ディーゼルエンジンは、かつて一世を風靡(ふうび)したロンドンタクシーFX4型用エンジンとして採用され、信頼性やエンジン効率といった点でロンドンタクシーに革新をもたらした。同エンジンは、FX4型の後継のTX1型にも採用された。

 ボリス・ジョンソンロンドン市長は、「市長として私が直面する最も重要な課題のひとつがロンドンの大気の改善である。各社がその難しいチャレンジに一緒に立ち向かい、大気改善のためにタクシー交通における排ガス低減および効率改善に尽力してくれることを非常に心強く、そして嬉しく思っている。真に競争力のあるモデルが市場投入されることを期待している」と述べている。

 また、日産のアンディ・パーマー副社長は、「ロンドンの最も象徴的な乗り物のひとつであるロンドンタクシーの21世紀における新たな方向性を提案でき、非常に誇りに思う。ブラックキャブは、その親しみやすいシルエットとあいまって、ビッグベンなどと同様、ロンドンの風景に欠かせないものであり、だからこそ、『NV200 ロンドンタクシー』では、内装もさることながら、その外観にも注力して魅力あるものとしていく。ドライバーや乗客に、より豊かな運行や車中での体験を提供できるようにしたいと考えている」と述べている。

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