オリンピックの「性別検査」で、DNA方式に代わり「テストステロン値判定方式」が採用される

2012年8月3日 19:25

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward 曰く、 今回のロンドン五輪の性別検査ではDNAではなく、テストステロンに着目した方法が採用されることになったそうだ(Los Angeles Times本家/.)。

 性別検査は、元々は男性が勝つために女性のふりをして競技することを防止するために始まったものだという。過去には外見からの判定なども行われ、近年ではDNA検査が採用されるようになった。しかし、Y染色体の有無だけでは単純に判別できないケースが存在し、また選手への心理的および社会的影響もあり一筋縄ではいかない問題であった。

 今回採用されるのは、テストステロンの血中濃度を計る方式。男性ホルモンの一種であるテストステロンは筋肉の発達や持久力、スピードを向上させることが分かっている。男性における血中テストステロン濃度の平均は1リットルあたり7〜30ナノモルであるが、女性の最大値は1リットルあたり3ナノモルを切る程度であるとのことで、検査にて男性レベルのテストステロンが検出された場合には女子選手としての参加は不適格と見なすことになったという。

 今回の検査方式は染色体で個人の性別をラベル付けすることを止め、競技者としての適性の有無を判断する方式への転換であるとのこと。高いテストステロン値は競技者として不当な優位性を与えるとの見方だそうだ。

 現在の規定では全競技者を検査することは無いため、何人がこの新しい検査の対象となるかはまだ分かっていない。また、染色体上は男性ではあるが女性として育つことの多いアンドロゲン不応症と呼ばれる性分化疾患は、完全型の場合この検査方式では女子選手として競技することが可能となるそうだ。

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