『諦め感台頭待ちの展開』、「円高」が企業業績期待を萎ませる=犬丸正寛の相場展望

2012年6月1日 17:29

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

低落相場が続いている。日経平均は、週末6月1日に8422円まで下げた。1月18日以来の8500円を割り、年初来高値1万0255円(3月27日)からの下げは17.8%に達した。

低落相場が続いている。日経平均は、週末6月1日に8422円まで下げた。1月18日以来の8500円を割り、年初来高値1万0255円(3月27日)からの下げは17.8%に達した。[写真拡大]

  低落相場が続いている。日経平均は、週末6月1日に8422円まで下げた。1月18日以来の8500円を割り、年初来高値1万0255円(3月27日)からの下げは17.8%に達した。

  しかし、マーケットに諦め感が出ているという動きではない。相場が悪いという割には、1日当りの出来高は15~20億株と比較的に多い。出来高から見る限り、諦めどころか活発な押し目買いが続いている姿だ。

  これは、2013年3月期の企業業績が回復することへの期待がある。とくに、日経平均ベースのPERは遂に11倍を切って10倍台まで下がった。企業業績を投資のベースに置く人にとっては割安が目立つ水準。恐らく、いずれ振り返る時が来れば、「あの時が底だった」となるだろう。

  ただ、足元のマーケット地合いは極めて良くない。欧州信用不安は、収まるどころか、むしろ燃え上がる心配が強い。リーマンショックの時は世界景気を牽引した新興国経済は勢いがない。それどころか、中国経済などには下向き圧力が強まっている。このところ好調だったアメリカ景気にも陰りがみられる。日本も予想外の「円高」で回復見通しの企業業績に楽観できなくなっている。第1四半期(4~6月)に、今期上方修正という期待は難しくなっている。その中で、大飯原発に再稼動の見通しが出てきたことは夏場の電力不足に少しは明るさがみられる。家庭用電力料金値上げは7月の予定が8月に延びるようだ。その間に日本は景気、企業業績の向上を確実なものとしてもらいたいが無理だろう。政治はそれどころではない。

  ポイントは、欧州問題をどの程度まで相場が織り込んだかだろう。ギリシャのユーロ離脱までか、さらに、ユーロ自体の崩壊か。あるいは、欧州全体の経済低落まで売っているのか。マネーはユーロから逃げ出しているようだが、モノの動きも欧州との間ではストップしてしまうか。世界の大手保険会社はギリシャ相手の貿易に対する保険を受付けないという。見極めにはまだ時間が掛かりそうだ。

  このまま円高が続くようだと、企業業績に対する期待が萎み、「諦めムード」が強まり、出来高の少ない「陰の極」となる可能性がある。しばらくは、『諦め感台頭待ちの相場』だろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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