富士通研究所が薄型・小型の手のひら静脈認証センサー開発

2012年5月7日 11:00

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記事提供元:エコノミックニュース

 富士通研究所が、タブレット端末に内蔵可能な世界最小・最薄の超小型手のひら静脈認証センサーを開発したと発表。イメージセンサーなどの光学系部品を新たに設計することで、厚さ5mmの薄型化を実現しているという。

 近年、情報漏洩やなりすましによる被害防止のため、利用者の本人認証技術として普及が進んでいる生体情報を利用したバイオメトリック認証技術。なかでも非接触型手のひら静脈認証装置は、体内情報を利用するため偽造が困難であることから、金融機関の本人認証などにも導入が進んでいる。また同時に、タブレット端末やスレートPCが爆発的に普及し、ビジネスなどの利用も多いことから、より小型の端末機器でのセキュリティ向上への要望が高まっており、こういった機器での静脈認証装置導入が切望されている。

 しかし従来、受光面積の大きな高性能イメージセンサーは、A4サイズのノートPCへの内蔵が限界であった。また、従来の手のひら静脈センサーで撮影した画像と差が生じると、従来の認証データとの互換性が保てなくなるためシステム構築時に制約が生じるという課題があったという。今回、富士通研究所が開発した静脈認証センサーでは、これらの課題を克服。-従来と同等の認証性能を維持したまま、従来の二分の一以下の厚さを実現したことで、薄型化が進むタブレット端末やスレートPCなどのモバイル機器にも容易に組み込むことが可能。さらに、小型・薄型化した場合でも従来と同等の画角を得る低歪広角レンズと、均一な照度分布を実現する拡散照明系を開発、従来の手のひら静脈センサーとの互換性を実現したという。

 今回開発された非接触型手のひら静脈認証装置は、携帯電話やWebカメラで使用される小型のイメージセンサーを利用して開発されているという。日進月歩で小型化・薄型化・低消費電力化が進む世界である。すでに携帯電話に搭載されているイメージセンサーを利用して開発されているということは、早晩、携帯電話やスマートフォンへ組み込めるだけの大きさまで本体が小型化されるであろう。さらに技術が進歩すれば、携帯電話やスマートフォンなどの本体を持ちあげるだけで、手にした人間が本体の持ち主か否かを判断し、ロックが解除されるような時代も来るのかもしれない。

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