日銀の追加金融緩和策で株を買うか投信を選ぶか「ハムレット」並みの難問?!=浅妻昭治

2012年5月2日 10:15

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

「株式を買うかそれとも投信を選ぶか、それが問題だ」とあのシェイクスピアの『ハムレット』と同様に投資家を悩ませそうなのが、日本銀行が、4月27日の金融政策決定会合で決定した追加金融緩和策である。

「株式を買うかそれとも投信を選ぶか、それが問題だ」とあのシェイクスピアの『ハムレット』と同様に投資家を悩ませそうなのが、日本銀行が、4月27日の金融政策決定会合で決定した追加金融緩和策である。[写真拡大]

【浅妻昭治のマーケット・トーク】

  「株式を買うかそれとも投信を選ぶか、それが問題だ」とあのシェイクスピアの『ハムレット』と同様に投資家を悩ませそうなのが、日本銀行が、4月27日の金融政策決定会合で決定した追加金融緩和策である。同緩和策は、資産買入限度額をさらに5兆円増額して総額70兆円とし、この増額分のうち、不動産投資信託(REIT)にも100億円を上積みして基金総額を1200億円としたからである。この追加緩和策に対して市場は一時、日経平均株価を129円高と買い上げ歓迎したのも束の間、大引けは反落となり、連休の谷間の1日も続落、追加緩和策は売りか買いか投資家の判断を悩ませている。

  これと同様に投資家に難問となりそうなのが、関連して不動産の株式を買うか、REITそのものを選ぶのかの「ハムレット問題」である。実際に不動産株には、3~4倍台の低PER株がゴロゴロしている。そしてこの難問のシンボル株と目されるのが、ケネディクス <4321> (東1)である。というのも同社は、連結子会社のケネディクス・レジデンシャル・パートナーズが、運用するケネディクス・レジデンシャル投資法人(KDR) <3278> (東R)を、4月26日に東証のREIT市場に上場させたばかりであるからだ。KDRは、公募・売出価格19万円で上場され18万2300円で初値をつけ、27日は日銀の追加緩和策に反応して上場来安値から反発した。前日1日は反落し再び上場来安値を探ったが、大引け後には新たに18物件、277億6450万円の物件取得を発表、上場目論見書記載の20物件の取得を完了し、きょう2日は、1100円高の18万2300円と反発して始まっている。

  一方、ケネディクスは、KDRに11件、145億円の賃貸住宅などの信託受益権を譲渡して特別損失を計上、株価は、追加緩和策にも反応薄で3営業日続落、きょう2日は330円高の1万3980円と急反発している。いずれにしろREITは、市場がスタートした2001年は、バブル経済崩壊後の資産デフレ脱出のお助けマン、今回もデフレ経済脱却のサポータ役の一端をそれぞれ担わされており、市場のインフレ期待に再点火できるかどうかがポイントとなりそうだ。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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