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トヨタ、クルマづくりの新方針を発表 車種間の部品・ユニットの共用化目指す
トヨタ自動車は9日、昨年3月にトヨタグローバルビジョンを発表し「もっといいクルマづくり」に向けた体制の改革を行ってきたが、今回新たな取り組みとして、大幅な商品力向上と原価低減を達成するクルマづくりの方針「Toyota New Global Architecture(以下、TNGA)」の車両開発への導入を公表した。また、これまでの取り組みとして「チーフエンジニアの権限強化」、「地域ニーズに沿ったいいクルマづくりに向けた体制改革」などについてあわせて公表した。
TNGAでは、「走る」・「曲がる」・「止まる」といった運動性能はもちろんのこと、ドライビングポジションなどの人間工学やデザインの自由度を追求した新しいプラットフォームを開発し、世界の各地域で共用化することで、高い基本性能を備えたクルマを効率よく開発することを目指している。新型プラットフォームは、設計とデザインが協力してクルマの骨格改革に取り組むことで重心を低く構え、踏ん張り感あるスタイリングなど、これまでにないエモーショナルなデザインと優れたハンドリングのクルマの開発を可能とする。
あわせて複数車種の同時企画・開発を行う「グルーピング開発」を導入し、車種間の基本部品・ユニットの共用化率を高めることで、仕入れ先との協力とあわせて原価低減を可能とする。開発の効率化や部品・ユニットの共用化が進むことにより、開発工数やコストを顧客の嗜好や地域の特性に関わる部分の開発に振り分けて差別化を図り、さらなる商品力の向上を図る。
なおTNGAは、3種類のFF系プラットフォームから取り組む方針。この3種のプラットフォームを採用する車両の合計生産台数は、トヨタの総生産台数の約5割をカバーする予定。
「チーフエンジニア(CE)の権限強化」については、CEの位置付けを「お客様に一番近い開発総責任者」として明確化し、従来のセンター制に分かれていた体制から製品企画本部長直轄として意思決定を迅速化。CEが顧客のことを考えながら、持続的・継続的に担当商品群を良くしていく組織とした。なお、車両開発の責任者はCEとする一方で、各車両に織り込む個別技術については、実験、ボディ、シャシー、パワートレーンなどを担当する各技術領域が責任を持つ体制とし、CEが目指す「いいクルマ」の基盤となる専門技術の蓄積と先行開発を強化する体制とした。
「地域ニーズに沿ったいいクルマづくりに向けた体制改革」については、各地域のR&D拠点の強化とあわせて、製品企画本部内に①北米・中国、②日本・欧州、③新興国(ロシア・アジア・豪州・中近東・中南米・アフリカ)の3地域の地域統括部長を配置。各地域の営業部門や研究開発拠点と連携して、地域ニーズに沿ったいいクルマづくりを追求する。「車両開発の責任者はCE」、「地域からの要望等を集約するのは地域統括部長」と役割を明確にし、両者が連携することで、よりスピーディーに地域ニーズに対応できる体制とした。また、レクサスブランドは、世界共通のブランド思想に基づいた車両開発を推進する。
さらに、「デザイン体制の強化」については、社内で車両デザインを評価・検討する「デザイン審査」への出席者を少人数に絞り込み、車両の開発責任者であるCEが主役となるプロセスを導入する。
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