好業績・高配当の創薬ベンチャー、アールテック・ウエノの眞島行彦社長に聞く

2012年4月4日 11:24

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

「医師の目線」で新薬開発と経営を率いるアールテック・ウエノ<4573>(JQS)の眞島行彦社長(写真)。未だ満足のゆく治療法がない領域(アンメット・メディカル・ニーズという)に特化した開発に取り組む。

「医師の目線」で新薬開発と経営を率いるアールテック・ウエノ<4573>(JQS)の眞島行彦社長(写真)。未だ満足のゆく治療法がない領域(アンメット・メディカル・ニーズという)に特化した開発に取り組む。[写真拡大]

■アールテック・ウエノの眞島行彦社長に経営に対する取組みを聞く

  「医師の目線」で新薬開発と経営を率いるアールテック・ウエノ <4573> (JQS)の眞島行彦社長(写真)。未だ満足のゆく治療法がない領域(アンメット・メディカル・ニーズという)に特化した開発に取り組む。収益的に厳しい創薬ベンチャーの多い中で好調な業績と高配当を続けている。現在も医師として診察の現場に身を置く、「ハイブリット社長」に経営に対する取組みを聞いた。

■「医師の目線」で開発と経営を率いる「ハイブリット社長」

――今回は、個人投資家の皆さんが関心を持たれていると思われる、2点に絞ってお聞きします。まず、最初は眞島社長さんが眼科医であり社長ということです。多くの上場企業の中で珍しいことです。もうひとつは、御社は「創薬ベンチャー」ということですが、創薬ベンチャーには赤字のところが目立ちます。その中にあって好業績で配当を実施されている秘密はどこにあるのかということです。ご経歴からお願いします。

  【眞島社長】 東京・中野区の生まれで小学校から高校まで東京学芸大学付属でした。慶應義塾大学医学部に進み、臨床医として眼科を専門としました。その後、慶應義塾大学医学部の助教授から、2005年にアールテック・ウエノの取締役として入社。2009年6月に社長に就任、今年で社長3年です。もともと父方は医者系で、父も順天堂大学の基礎医学(生理学)の教授でした。一方、母方は実業家と役人の家系です。医者と実業家の血を半分ずつ受け継いでいると思います。「ハイブリット社長」と呼ばれることもありますが、気に入っています(笑)。

――個人投資家の皆さんは、大学の助教授で眼科医という社会貢献度の大きい世界から、なぜ会社経営の世界だろうと思われていると思います。

  【眞島社長】 アールテック・ウエノを1989年に設立された上野隆司博士と慶應義塾大学医学部で同級生だったご縁です。とくに、私が入社する2年前の2003年に医薬品事業部が開設され、アールテック・ウエノは新規医薬品の開発、製造販売を行い、会社を大きくして世界的にも社会で役立つ企業になることを上野博士から聞いていました。アドバイザーとして手伝って欲しいと頼まれました。1人の医者として治療できる患者さんの数には限りがあります。有効な治療法のない領域で画期的な治療薬が開発できれば、より社会に貢献できると思い経営に参画しました。大学病院に在籍していた時にも難病の治療を開発していたため、より実学を求めていましたので、個人的にもいい機会でした。

――取締役として3年、社長業として3年。現在、どのようなお気持ちですか。

  【眞島社長】 当初は、経営とは数字が中心ばかりの印象を持っていました。もちろん、数字は大切です。しかし、それ以上に企業が着実に成長していくには、明確なビジョンを持ち、それを実現させるストーリーを描き、形にしていく企画力、判断力、人を有効に使うことが大切だと感じています。このあたりが医者と違うところです。しかし、何をやるかというビジョン、方向性を示すことが経営者にとって重要ですが、この点においては、医師であることやこれまでの経験が大いに役立っているとも感じています。現在も月に数回は患者さんの診察に当たって、生の声を聞いています。こうした経験等もふまえ、「医者(医師)の目線」で薬の開発を手がけ経営を考えていることが特徴であり強さだと思っています。

――「創薬ベンチャー」は、開発して製品化するまで時間的にも費用的にも大変だろうと思います。御社は、2012年3月期で売上42億3900万円(前期比0.8%増収)、営業利益11億4600万円(同比14.7%増益)、1株利益7648円と好調な見通しです。配当も年3000円継続を予定されています。好調な業績の背景についてお願いします。

  【眞島社長】 その点については、会社の歴史を説明します。さきほど上野博士が1989年に会社を設立されたと言いました。上野博士は1980年代に発見したプロストン(機能性脂肪酸)をテーマとした臨床開発を行い、1994年に世界で初めてプロストン系医薬品である『レスキュラ点眼液0.12%』が緑内障・高眼圧治療剤として開発されました。さらに、上野博士は、1996年にアメリカ・メリーランド州のベセスタに現地会社を設立され2007年8月には米国ナスダック市場に上場しました。第2のプロストン系医薬品である『Amitiza』(アミティーザ)カプセルを開発。2006年1月にFDA(食品医薬局)から慢性特発性便秘治療薬として販売許可を取得し、2008年には便秘型過敏性腸症候群にも適応が拡大されています。当社はアミティーザカプセルの受託製造を行っています。直近、第3四半期(4~12月)では、「レスキュラ点眼液」が全体の約44%、「アミティーザカプセル」が約54%の売上構成です。この2つの事業で年間40億円を超える安定した売上と、売上総利益率(粗利益率)60%を挙げています。つまり、安定した収入を確保したうえで新しい薬の開発に取組んでいることが当社の特徴であり強さです。よって研究開発費については売上の30%前後を目処としており、利益を度外視した際限のない研究開発投資をすることは考えていません。上場会社として、利益を上げながら配当金を出すことは株主還元の一つとして重要だと考えていますので、株主様には毎年の配当を得ていただきながら、数年後の新薬誕生を楽しみに待っていただきたいと思っています。

■アンメット・メディカル領域に特化、5年後売上100億円へ

――今後の展開についてお願いします。

  【眞島社長】 現在の年間40億円台の売上を今後5年間で100億円にもって行くことです。その原動力は新規医薬品を開発し、海外の大企業にその開発権をライセンスアウトするグローバル戦略です。創薬については眼科、皮膚科に絞って取組んでいきます。とくに、(1)アンメット・メディカル・ニーズ領域、(2)オーファンドラッグ領域、(3)アンチエイジング領域、生活改善薬領域、の3分野に重点を置いた事業展開です。いずれも、医師の目線が重要な専門性の高い分野ですので、「ハイブリッド社長」の特徴が生かされると考えています。

――横文字が多くて難しそうですね。それぞれの分野ではどのような研究開発製品がありますか。

  【眞島社長】 「アンメット・メディカル・ニーズ領域」は、未だ満足のゆく治療法がない医療領域のことです。この領域では重症ドライアイ(開発番号RU―101)、糖尿病白内障(RTU―007)、アトピー性皮膚炎(RTU―1096)、加齢黄斑変性(UF-021)などを開発中です。「オーファンドラッグ領域」は、希少疾病医薬品領域です。網膜色素変性(UF-021)を開発中です。「アンチエイジング領域、生活改善薬領域」では、男性型脱毛症(RK-023)、睫毛貧毛症(RK-023)などを開発しています。

――専門的な分野ということがよく分かりました。

  【眞島社長】 当社は創薬ベンチャーとして、化学構造も従来の医薬品と基本骨格から異なり、新規性・有用性が高く治療体系を大幅に変えるような独創的医薬品であるファースト・イン・クラスの医薬品開発に挑戦していますから、専門性の高い分野で勝負する必要があります。当社の特徴である「専門医の目線」が非常に大事であることが、お分かりいただいただろうと思います。

――ありがとうございました。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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