【外国為替市場展望:ユーロ・円相場】リスク回避姿勢後退でユーロ高・円安の地合い継続へ

2012年3月18日 10:43

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

【外国為替市場フューチャー:3月19日~23日のユーロ・円相場見通し】

■1ユーロ=108円台~110円台を想定

  来週(3月19日~23日)のユーロ・円相場については、概ね1ユーロ=108台~110円台での展開を想定する。リスク回避姿勢が後退しているため、ユーロ高・円安の地合いが継続する可能性が高いだろう。

  ギリシャ問題に関しては、20日に145億ユーロの国債償還期限を迎えるが、1300億ユーロ規模の追加支援を正式決定しているため、すでに市場の関心が薄れている。日本の経常黒字減少に対する懸念が高まっていることも、ユーロ買い・円売りにつながっている。

  世界的な金融緩和の流れの中で、今後はユーロ圏の景気動向やECB(欧州中央銀行)の金融政策、さらには日米の金融政策に対する思惑などが焦点となりそうだ。ユーロ圏の景気減速懸念がユーロ売り圧力につながる可能性には注意が必要だろう。

  前週(3月12日~16日)のユーロ・円相場は、概ね1ユーロ=107円50銭台~109円80銭台のレンジで推移した。ギリシャ問題に対する警戒感が後退してユーロ買い・円売りが優勢だった。週後半には1ユーロ=109円台に円が下落し、全体としてユーロ高・円安の地合いを回復した1週間だった。週末16日の海外市場で終盤は1ユーロ=109円90銭近辺だった。

  ユーロ圏債務危機問題に関する前週の動きを整理すると、12日にはギリシャ政府が、民間投資家が保有するギリシャ国債の債券交換手続を終了したと発表した。13日のユーロ圏財務相会合では、ギリシャに対する総額1300億ユーロ規模の第2次金融支援開始を決定(ユーロ圏財務相会合のユンケル議長が14日の声明で正式承認したと発表)した。またスペインに対して12年中の追加的な財政赤字削減策を求めることで合意した。15日には、IMF(国際通貨基金)がギリシャ向け280億ユーロ規模の融資を正式承認した。このため20日の145億ユーロの国債償還をクリアして、ギリシャの無秩序なデフォルト(債務不履行)は回避されることになった。

  なお16日には、ESM(欧州安定メカニズム)とEFSF(欧州金融安定化基金)の合計融資能力を、現行の5000億ユーロから7000億ユーロ規模に拡大する可能性が報道されているが、決定には不透明感が強いとの見方が優勢のようだ。ギリシャ問題について一旦は市場の関心が薄れた状況だが、ユーロ圏債務危機問題が根本的に解決したわけではなく、スペインやポルトガルが次のターゲットになる可能性も指摘されているだけに注意は必要だろう。

  当面の注目スケジュールとしては、19日のユーロ圏1月経常収支、20日の独2月生産者物価指数、英2月消費者物価指数、ギリシャ145億ユーロ国債償還期限、米2月住宅着工件数、バーナンキ米FRB議長の講演、21日の米2月中古住宅販売、21日~22日のECB理事会(金利発表なし)、22日の日本2月貿易統計、ユーロ圏1月鉱工業受注、ユーロ圏3月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、米1月住宅価格指数、米2月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、米新規失業保険申請件数、バーナンキ米FRB議長の講演、23日のスイス中銀四半期金融政策リポート、米2月新築一戸建て住宅販売、21日~22日のECB(欧州中央銀行)理事会(金利発表なし)などがあるだろう。

  その後の注目イベントとしては、3月29日の米第4四半期GDP確報値、3月30日~31日のEU非公式財務相会合、4月2日の3月日銀短観、3日~4日のASEAN首脳会合、4日のECB理事会(金利発表)、4日~5日の英中銀金融政策決定会合、6日の米3月雇用統計などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【話題株】増配に続いて「大幅増額」のうかい、週明け相場でモミ合い上放れも(2012/03/16)
ゲオホールディングスは高値引けとなり戻り高値圏で強調(2012/03/16)
犬丸正寛の相場格言~データでは説明できない先人の知恵をもとに株式投資で大成功~(2012/02/02)
株式評論家・浅妻昭治のマーケットセンサー(銘柄発掘の王道を伝授・注目株厳選)メルマガがスタート!登録受付中(2012/02/02)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事