犬丸正寛のキーワードで占う『2012年相場』~世界は『選択と集中』へ

2011年12月30日 18:39

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

2012年にマスコミに登場が予想される言葉は、どのようなものがあるだろうか。ざっと挙げてみると次のような言葉が予想される。その言葉を眺め、組み合わせてみることで、2012年の相場も見えて来るのではなかろうか。

2012年にマスコミに登場が予想される言葉は、どのようなものがあるだろうか。ざっと挙げてみると次のような言葉が予想される。その言葉を眺め、組み合わせてみることで、2012年の相場も見えて来るのではなかろうか。[写真拡大]

  2012年にマスコミに登場が予想される言葉は、どのようなものがあるだろうか。ざっと挙げてみると次のような言葉が予想される。その言葉を眺め、組み合わせてみることで、2012年の相場も見えて来るのではなかろうか。『』内が注目される言葉。

【海外】

  海外では先進国、新興国で問題となっている『貧富の格差』によるデモが2012年も続くことが予想される。とくに、アメリカは『大統領選挙』を控えていることから『失業』対策に力点が置かれるものとみられる。一方、『欧州信用不安』は引き続き世界経済にとって波乱要因。ユーロ体制を維持できるかどうか。ヨーロッパの信用不安が続くようだと、中国など『新興国経済の行方』にも影響してくる。

  あるいは、もう一度、アメリカ・イギリス・日本によるドル体制強化になるかどうかが注目される。とくに、『イラン・北朝鮮の核開発問題』から、アメリカへのリーダーシップ期待が強まることも十分に予想される。こうした中で2012年7月に『ロンドンオリンピック』が開催されることは、米英日の存在感を強める象徴のようでもある。

【国内】

  『消費税』、『財政再建』『TPP問題』、『沖縄基地問題』など現政権にとって解決が難しい問題ばかり。年末に『消費税引上案』は党内で了解は取り付けたものの、早速、国会での審議が控えている。2009年の『民主党政権公約』が果たされていないだけに、国民からの『民主党支持率は急低下』しているだけに野党攻勢は厳しいものが予想される。TPP、沖縄問題などに加え、さらに参議院で可決された2大臣の『問責決議』もあることから、『衆議院の解散の可能性』はかなり濃厚となっている。

  しかも、『維新の会など地方政党』の台頭が注目され、国民の間に変化を求める空気が強くなっている。仮に、解散総選挙なら単独で政権を取ることは難しく、『連立政権』ということになるだろう。

  国民生活にとっては、『福島原発放射能問題』、『東日本大震災復興の行方』、『異常気象による台風被害』、『電力不足』、『原子力発電所再稼動問題』など、国民生活に関係の深い問題も続いている。しかも、遠くない時期に発生が予想されている『東海沖大地震』への備えも急がなくてはいけない。『若年層の失業率』は高いままで、しかも、『円高傾向』から、『企業の海外進出』は引き続き活発で、そのことが国内雇用に影響している。ヨーロッパの信用不安が続くようなら『対ユーロで円高』の続くことが心配される。もちろん、強いドルということなら、対ドルでは円安も十分に予想される。

【2012年の株式相場は?】

★世界は「選択と集中」の時代、ドル中心に組み直し

  筆者は、『不景気の株高』の可能性が強いとみている。今、世界は『選択と集中』を迎えようとしているのではないか。1989年11月にベルリンの壁が崩壊して東西冷戦時代が終わり、世界は政治的にも経済的にも多極化し民主化が進んだ。22年経った現在、世界は「我も我も」状態でリーダーが不在。何かのきっかけで、テロや核戦争の起こる懸念を内包している。冷戦終結=平和の配当で豊かになれるはずのユーロ圏も逆に汗することを忘れたのか、借金に苦しんでいる。このため、現在の世界の国は、お互いに「選択と集中」で得意とする分野を磨き直す必要があるところに来ている。

  この点、日本の企業は早く「選択と集中」に取り組んできた。ベルリンの壁が崩壊した同じ年1989年の12月に日経平均は3万8915円の最高値をつけ「バブルが崩壊」した。以来22年、日本企業は、「選択と集中」で多角化経営から得意とする分野へ経営資源を集中してきた。このため、世界で日本企業の競争力が落ちたといわれるものの、必ずしも当てはまらない。決して、勤勉性まで失って、根本的な競争力が無くなったわけではない。その証拠にリーマンショック、欧州金融不安の中でも企業業績は強く、日経平均の予想1株利益は直近で600円近くあり立派な業績である。ただ、企業に比べ日本の政治は、まだ多党化のままで、これから企業と同じように「選択と集中」で日本再生を担う強い政治体制へ再編が予想される。

★行き場のない資金が日本株へ来る、『不景気の株高』

  恐らく、2012年は世界において、こうした日本の企業力の強さを見直す動きが予想される。しかも、政治も変わる可能性があることを考えればなおさらだ。

  世界で行き場のないマネーが日本の株式市場へ来る可能性はあるのではないか。消去法で「円」が注目されたように、次は「日本株」見直しの順番だろう。日本国内においても、行き場のない資金が株式市場に向かい『不景気の株高』になるものとみている。政府の政策が、『セメントも人も大切』という変更や、『東日本の復興本格化』を見込めば、建設株などにスポットライトの当る年になるものとみられる。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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