<米国>11月の新築・中古住宅販売件数:驚愕の下方修正

2011年12月26日 11:46

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記事提供元:ライフパートナーズ

 12月21日に全米不動産協会から発表された11月の「中古住宅販売件数(※1下部に説明あり)」は季節調整済みの年率換算で442万戸になり、前月から+4.0%となりました。2ヶ月連続の増加。また、今回の市場予想は505万戸でしたが63万戸下回る結果となりました。

 続けて、23日に米商務省から発表された11月の「新築1戸建て住宅販売件数(※2)」は季節調整済みの年率換算で31.5万戸になり、前月から+1.6%となりました。2ヶ月連続の増加。また、今回の市場予想は31.5万戸で実際と変わらずでした。

 さらに中古住宅販売販売件数に関しては、「同一物件が重複計上された事例や新築住宅販売件数までもが含まれた例があった」という理由より、同時に過去4年分のデータの下方修正も発表されました。4年平均515.7万戸から442万戸へ修正、修正幅-14%。修正後の数値を見ると、中古住宅販売も新築と同様のペースで減少していたことが分かります。いやぁこれは酷すぎますね。何かの意図を感じずにはおれません。仮にこの数値がリアルタイムで発表されていたらもっと相場は荒れていたかもしれませんが、信用を失うことの方が長期的には大きな損失になるのではないでしょうか。

 ※1その月に所有権の移転が完了した中古住宅件数。新築住宅販売件数が契約書への署名時点で計測されるのに対し、中古住宅販売件数は所有権の移転が完了した時点で計測されます。そのため、中古住宅販売件数は新築住宅販売件数よりも1~2ヶ月前の住宅市場の環境を表すものとなっており、やや速報性に欠けます。しかし、アメリカでは中古住宅の購入意欲が非常に高く、市場規模も新築の10倍強であるため、新築住宅販売件数と同様に重視されています。

 ※2その月に販売契約書への署名が完了した新築1戸建て住宅件数。住宅の購入と同時に家具や家電なども買い揃えられますので、単純に住宅購入が経済に与える波及効果は大きいです。さらに、アメリカ人の基本的な消費行動モデルが「購入した住宅を担保にお金を借りてそれを消費に回し、そのあと値上がりした住宅を売って借金を返す」というものであったため、住宅購入の需要を表す新築住宅販売件数はアメリカ経済の先行きを読む上で非常に重要な指標とされています。(執筆者:山本達彦・やさしい株のはじめ方、編集担当:サーチナ・メディア事業部)

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