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10月の景気ウォッチャー調査:タイの洪水、自動車業に冷や水
9日に内閣府から発表された10月の「景気ウォッチャー調査」。景気の先行き判断DI(※下部に説明あり)は前月より-0.5ポイントで、45.9へ。4ヶ月連続の減少となりました。構成比は「良くなる」が2.0%、「やや良くなる」が17.6%、「変わらない」が49.5%、「やや悪くなる」が24.0%、「悪くなる」が7.0%となりました。
DIの内訳を見ると、「家計動向関連」では、小売関連が+0.2ポイントで45.0、飲食関連が-1.4ポイントで47.1、サービス関連が+0.5ポイントで49.2、住宅関連が-2.4ポイントで41.7。「企業動向関連」では、製造業が-2.6ポイントで42.3、非製造業が-0.8ポイントで43.8。「雇用関連」は-0.7ポイントで51.0となりました。
判断理由を見ると、「良くなる(やや良くなる)」の理由には、「東日本大震災の復興需要は当分続き、建設、小売関係のクライアントにおいては、現在よりも業績が改善するところが増加すると見ている(公認会計士)」「引き続き自動車関連企業への派遣が増加する(北関東=人材派遣会社)」「エコカー減税の終了に向けて駆け込み受注が見込まれ、販売台数は増加する。登録が間に合わなくなる車も出てくるため、先取り受注が見込まれる(乗用車販売店)」などが上げられています。
一方、「悪くなる(やや悪くなる)」の理由には、「タイの洪水によって部品供給が一部不足するとの情報が入ってきているため、1月以降は生産が大幅に減少してくる(輸送用機械器具製造業)」「極端な円高で、中国からの輸入品との価格競争が激しくなっている(繊維工業)」「地上放送のデジタル化に伴う駆け込み需要の反動減は、予想以上である。今後もこの影響は続く(家電量販店)」などが上げられています。
ここ数ヶ月良いコメントしか見当たらなかった自動車業界ですが、タイの洪水で一転、悪いコメントも目立つようになってしまいました。エコカー減税が来年3月末までで終了するため、駆け込み需要が発生する見込みですが、タイの洪水によって部品調達が上手くいかず、一部で生産が思うように進まない恐れが出てきました。また、輸出業全体は相変わらず円高の影響で厳しい見通しです。逆に、原材料を海外から調達している飲食店などは、仕入れコスト低下の恩恵を受けることになりますが、それも値下げで消化されてしまうとありがたみが小さくなってしまいますので、投資する際は注意が必要です。良い変化としては、第三次補正予算がいよいよ動き出すので、それを反映したコメントが増えてきたことです。
※景気の2~3ヶ月先行きに対する5段階の判断に、「良くなっている+1点」「やや良くなっている+0.75点」「変わらない+0.5点」「やや悪くなっている+0.25点」「悪くなっている0点」の点数を与え、調査時に判断理由とともに回答してもらい計算しています。調査対象は家計・企業・雇用を観察できる立場にある人々。調査期間は毎月25日から月末にかけて行われます。50が景気の転換点で、50を上回れば景気拡大、下回れば景気縮小の予想を意味します。
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