【読者と一問一答】月足からみた10月相場はどうなる?

2011年10月1日 14:52

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■第3次補正予算期待で「実りの秋」相場へ

  【問い】 9月相場が終わりました。9月はとても長いもたつきの印象でした。「月足」チャートからみて、10月からの下期相場はどうですか。「実りの秋」相場となるでしょうか。

  【答え】 9月の「月足」は、日経平均、TOPIXとも陰線足で、しかも、3ヶ月連続の陰線となりました。このあたりが、個人投資家の方にとって、相場が「もたついている印象」になったと思います。

  もっとも、9月が中途半端に陽線足となるより、陰線でよかったと思います。過去の動きでみても、3ヶ月連続陰線のあとは、底となることが多く、次の月から反発となっていることが多いようです。

  ましてや、9月は法人等にとっては上半期末で積極的に動き難い状況でした。その上半期(4~9月)の成績は、芳しいものではありませんでした。今年3月末と9月末を比べると、日経平均は9755円から8700円へ10.8%下落、TOPIXでも869ポイントから761ポイントへ12.4%下落でした。

  この間、TOPIX対応の業種別指数では、上昇となったのは「水産」、「食料」、「パルプ」、「小売」、「サービス」、「陸運」、「ゴム製品」の7業種。残り31業種は値下がりで、とくに、「海運」、「精密等その他製造」、「証券」、「非鉄」、「興業」、「鉄鋼」などの値下がりが大きいものでした。

  4~9月には、震災発生後の3月期決算会社の第1四半期(4~6月)決算発表、菅前総理の辞任発言に伴う政局波乱で復興の遅れがありました。一方、海外では、アメリカ国債の格下、ギリシャの財政不安によるEU崩壊の危機が起こり、この裏返しとして、「円」がドル、ユーロに対して高くなり、8月19日には1ドル・75円94銭の超円高となりました。輸出関連企業からは、業績の減額を発表するところも増えました。

  こうした、動きを映して、とくに9月後半にかけて、輸出比率の高い銘柄の下げが目立ち、輸出関連株を処分する展開となりました。

  上半期の注目の個別銘柄では、東証1部について3月末と9月末株価比較では、値上り率トップはシップヘルスケアホールディングス <3360> で84.0%、2位スタジオアリス <2305> 76.4%、3位コロナ <5909> の74.7%でした。値下がり率の大きかったワースト1位はサンシティ <8910> の95.8%、2位ブイ・テクノロジー <7717> の59.6%、3位クボテック <7709> 57.5%です。任天堂 <7974> も主力市場は大阪ですが東京市場で50.6%の下げでワースト12位、東京電力 <9501> も48.5%の下げでワースト16位となっています。

  こうしてみると、上半期は、「リーマンショック」を克服するために世界各国が投じた大規模な政府支出によるツケが財政赤字となって表面化し経済を圧迫した状況でした。この間、日本は政局の不安定で復興が遅れました。

  震災発生の3月の月間東証1部出来高は686億株と膨れ上がりました。しかし、処分売りが一巡した4月以降の月間出来高は350~400億株にとどまり閑散状態に近い状況でした。このことが証券株の下げを大きくしたようです。

  10月からの下期は、上半期に比べると内外とも環境は落ち着いたものとなることが予想されます。国内では、遅れていた復興の第3次補正予算が決まります。ただ、海外は多くは期待できないでしょう。しばらくは、ギリシャ問題は落ち着くでしょう。しかし、根本的治癒には至らないと思われます。ギリシャと似たような国がヨーロッパで出ないとも言えないでしょう。しかも、中国など新興国もひところの元気はありません。これまでの高成長のツケでインフレ、所得格差による社会不安を抱えています。むしろ新興国リスクが危惧されるようになっています。

  結局、10兆円を超える規模の第3次補正予算で経済対策を打てるのは日本だけです。「日本の機関車役」が世界から注目されるはずです。日経平均は去る9月26日(月)に8359円で底打ちとなっています。「彼岸底」とみてよいと思います。10月からの相場は復興関連の内需株を中心に「実りの秋相場」が期待できるでしょう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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