6月の日銀短観:反発後の先に光が見えない

2011年7月4日 13:33

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記事提供元:ライフパートナーズ

 7月1日に日本銀行から発表された6月の短観の「業況判断DI(※下部に説明あり)」。大企業の製造業は、前期から-15ポイントで-9。3ヶ月先の見通しは+11ポイントで+3。非製造業は、前期から-8ポイントで-5。3ヶ月先の見通しは+3ポイントで-2となりました。

 製造業の3ヶ月先の見通しを詳しく見ると、「製商品・サービス需給DI(需要超過-供給超過)」は国内が前期から+2ポイントで-13、海外が+2ポイントで0。「販売価格(上昇-下落)」は+2ポイントで-6。「仕入価格(上昇-下落)」は-1ポイントで27。非製造業は集計なし。

 また、今年度の事業計画を見てみると、「売上高」は製造業が前年度比+2.9%(前回より+0.9%)、非製造業が+2.2%(+1.4%)。「経常利益」は製造業が+0.4%(+5.3%)、非製造業が-6.1%(+2.7%)。「設備投資額(除く土地投資額)」は製造業が+10.5%(+1.1%)、非製造業が+5.8%(+0.9%)となる予想をしていることが分かりました。

 3月の東日本大震災で受けた直接的なダメージに加え、製品・商品供給網の寸断により受けた間接的なダメージの影響で大きく落ち込んだ業況判断ですが、3ヶ月先の見通しでは、復興特需と供給網の回復が想定され、急激な回復を見込んでいるようです。ただ、そのあと継続的に景気を引っ張っていくような材料は国内には見当たりません。むしろ、増税など景気を失速させる材料に溢れています。海外にしても、米国の量的緩和策の終了、中国やインドを始めとする新興国の物価高騰による金融引き締めがあり、なかなか明るい見通しが持てません。

 ※各企業の経営者に日銀が用意したいくつかの業況を判断する項目に答えてもらい、その回答を基に「業況判断DI」を算出します。回答は「良い」「さほど良くない」「悪い」の3つで、DIは「良い」の回答比率から「悪い」の比率を差し引いたものとなります。0が景気の転換点になります。調査は調査時点と3ヶ月先の見通しについて行われ、4月・7月・10月の初めと12月の中旬に公表されます。

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