<米国>3月の新築・中古住宅販売件数:米株価はしばらく低迷する

2011年6月27日 23:41

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記事提供元:ライフパートナーズ

 3月21日に全米不動産協会から発表された5月の「中古住宅販売件数(※1下部に説明あり)」は季節調整済みの年率換算で481万戸になり、前月から-3.8%となりました。3ヶ月連続の減少。また、今回の市場予想は480万戸でしたが1万戸上回る結果となりました。

 続けて、23日に米商務省から発表された5月の「新築1戸建て住宅販売件数(※2)」は季節調整済みの年率換算で31.9万戸になり、前月から-2.1%となりました。2ヶ月ぶりの減少。また、今回の市場予想は31.0万戸でしたが0.9万戸上回る結果となりました。

 金融緩和策(金融機関の保有する長期国債を買い取ることで、市場に新たな資金を提供する政策)がいよいよ6月末で終了します。リーマンショックで個人の資産は大きく目減りしましたが、金融緩和策によって株価を大きく反発させた結果、アメリカ国民の消費は落ち込むことなく順調に推移してきました。しかし、その支えも無くなることが決まり、住宅価格も依然として低迷。加えて、実体経済も物価上昇の加熱により失速。どう考えても、しばらくは株価が上昇トレンドを描くことはなさそうです。

 ※1その月に所有権の移転が完了した中古住宅件数。新築住宅販売件数が契約書への署名時点で計測されるのに対し、中古住宅販売件数は所有権の移転が完了した時点で計測されます。そのため、中古住宅販売件数は新築住宅販売件数よりも1~2ヶ月前の住宅市場の環境を表すものとなっており、やや速報性に欠けます。しかし、アメリカでは中古住宅の購入意欲が非常に高く、市場規模も新築の10倍強であるため、新築住宅販売件数と同様に重視されています。

 ※2その月に販売契約書への署名が完了した新築1戸建て住宅件数。住宅の購入と同時に家具や家電なども買い揃えられますので、単純に住宅購入が経済に与える波及効果は大きいです。さらに、アメリカ人の基本的な消費行動モデルが「購入した住宅を担保にお金を借りてそれを消費に回し、そのあと値上がりした住宅を売って借金を返す」というものであったため、住宅購入の需要を表す新築住宅販売件数はアメリカ経済の先行きを読む上で非常に重要な指標とされています。

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