【クラウドコンピューティング特集(2)】独自のクラウドサービス事業が急増!

2011年6月22日 10:08

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

クラウドサービスというのは、高性能サーバーを多数配備した大型データセンターに、コンピューター・リソース(各種のハードウェア、ソフトウェア、データなど)を集約し、それをサービスとしてインターネット経由で利用者に提供する仕組みである。

クラウドサービスというのは、高性能サーバーを多数配備した大型データセンターに、コンピューター・リソース(各種のハードウェア、ソフトウェア、データなど)を集約し、それをサービスとしてインターネット経由で利用者に提供する仕組みである。[写真拡大]

■クラウドサービスとは・・

  クラウドサービスというのは、高性能サーバーを多数配備した大型データセンターに、コンピューター・リソース(各種のハードウェア、ソフトウェア、データなど)を集約し、それをサービスとしてインターネット経由で利用者に提供する仕組みである。

  利用者となる企業や個人は、クラウドサービスを提供する業者のサーバー上に、各種のソフトウェアやデータなどの保存・管理機能を集約し、必要に応じてインターネット経由で利用する。インターネットが使える環境であれば、何時でも何処からでもサーバーにアクセスして、膨大なコンピューター・リソースを利用できる。高額なサーバーやソフトウェアを自前で持つ必要がなく、初期投資や運用コストを大幅に低減できるというメリットがある。

  従来のコンピューター・ネットワークにおいては、ネットワークはデータやメッセージが通る経路に過ぎず、個々のコンピューターが計算・情報処理を行なう主体であった。しかし、クラウドサービスにおいては、ネットワークで接続されたコンピューター群が一つの巨大なコンピューターとなる。

■「パブリック・クラウド」型と「プライベート・クラウド」型

  クラウドサービスを提供形態で分類すると、不特定多数向けを対象に提供する「パブリック・クラウド」型、特定ユーザーを対象として提供する「プライベート・クラウド」型、パブリック・クラウドとプライベート・クラウドを組み合わせて利用する「ハイブリッド・クラウド」型、複数のパブリック・クラウドを組み合わせて利用する「マルチ・クラウド」型などがある。

  パブリック・クラウドは、利用者を限定せずに提供するクラウドサービスであり、一般的にクラウドサービスと言えばパブリック・クラウドのこととされている。利用者(企業や個人)はサービス提供業者に登録し、必要な時に必要な分だけ有料または無料で、各種アプリケーションなどのコンピューター・リソースを利用できる。

  プライベート・クラウドは企業内クラウドとも呼ばれ、特定ユーザー(企業)専用のシステムを構築・運用するクラウドサービスである。企業が各拠点に分散配置しているサーバー機能をデータセンターに集約し、仮想化技術を活用してシステムを運用する。原則として企業の自社システムなので、目的や用途に応じて独自の機能を自由に構築・追加し、社内で利用できる。ハードウェア・リソースに対する投資や運用コストを引き下げることが可能になる。ただし、パブリック・クラウドほどには規模の経済が働かないとされている。

■クラウドサービスの提供形態も様々

  また、クラウドサービスを提供形態で分類すると、アプリケーション・ソフトウェアを提供する「SaaS(サース:Software as a Service)」型、アプリケーション・ソフトウェアを稼働させるためのプラットフォームを提供する「PaaS(パース:Platform as a Service)」型、ハードウェア・リソースを提供する「HaaS(ハース:Hardware as a Service)」型、そしてサーバー、CPU(演算処理装置)、ストレージ(外部記憶装置)、OS(基本ソフト)など総合的基盤(インフラストラクチャー)を提供する「IaaS(イアース:Infrastructure as a Service)」型などがある。

  SaaS型は、アプリケーション・ソフトウェアをインターネット経由で提供するASP(Application Service Provider)と同義語のサービスとも解釈され、ユーザー数や利用時間などに応じて料金を支払う従量課金制が一般的である。社内メールやグループウェアなどでの利用が多く、最近では国際会計基準(IFRS)に対応した会計システムの利用も増加している。

  PaaS型では、企業内で使用する業務アプリケーション・ソフトウェアを構築する場合などに、OSやサーバー・ソフトウェアなど、開発に必要な環境がネットワーク上に用意されており、開発者は煩雑な事前準備なしに作業に取り掛かることができる。

  HaaS型は、従来型のホスティングサービスと異なり、仮想化技術を活用してハードウェア・リソースを提供する。ユーザーは、初期コストなしにハードウェア・リソースを利用できるだけでなく、運用・メンテナンスの手間も軽減できる。

  IaaS型は、SaaS型やPaaS型が稼働するためのハードウェア・リソースやOSなどを、仮想化技術を活用して総合的なインフラとして提供するものであり、HaaS型もIaaS型に含めることが多い模様である。

  HaaS型は米アマゾン・ドット・コムが2006年3月に開始した「アマゾン・シンプル・ストレージ・サービス」が先駆けとされ、PaaS型は米セールスフォース・ドットコムが2007年7月に打ち出したコンセプトとされている。いずれも現在では、他の米IT業界大手も同様のサービスを提供している。

  こうした各種サービスに対して、たとえば企業ユーザーであれば、自社のニーズに応じて既存の社内システムと組み合わせながら、必要な機能やリソースだけを調達するケースも見られる。また、提供されたクラウドサービスと自社のコンピューター・リソースやコンテンツなどを組み合わせて、独自のクラウドサービスを事業展開するケースも増加している。(次回に続く)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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