リチウムイオン電池用部材市場、2020年には10年比254倍の1兆2,705億円に=富士キメラ総研

2011年6月21日 11:50

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 プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)の主要部材であるリチウムイオン二次電池用部材の市場は、2011年に前年比約7倍の349億円に拡大し、20年には10年比で254倍の1兆2,705億円にまで成長する。富士キメラ総研が市場調査レポート「2011 次世代自動車のキーマテリアル市場の将来展望」で予測をまとめた。

 同レポートは、環境負荷が少ない次世代自動車として注目されるハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)の主要な部材/材料49品目について、世界の技術開発動向や現状の課題を3月から5月にかけて調査した結果をまとめたもの。

 PHV/EVに必須のリチウムイオン二次電池用部材は、11年は前年の7倍まで市場が拡大し、その後も倍増を続け、15年には4,266億円、20年には1兆2,700億円超の市場に成長すると予測する。

 大容量電力を必要とするEVが登場したことや、HVでも徐々に搭載され始めていることから、リチウムイオン二次電池市場の急拡大が期待されるとしている。また、充放電容量の拡大を図るためさらに新しい材料を開発する企業が相次いでおり、15年以降にはまったく新しい材料が登場する可能性が考えられるという。

 一方、国内では東日本大震災で日立化成、古河電気工業などの部材製造工場のほか、樹脂・半導体などの工場が被災して車両生産が1カ月以上停止したため、自動車向けリチウムイオン二次電池市場は穏やかな拡大に留まると指摘。長期的な市場拡大は間違いないが、韓国を含む海外のメーカーが続々と参入しており、海外市場が中心になるとの予測を示している。

 富士キメラ総研は、11年のHV/PHV/EVの生産台数については、日本国内で93万台、世界市場では121万台と、30%近い伸びを示すと予測。今後もHV市場はほぼ年率20%で拡大し、20年にはPHVが179万台、EVが145万台、FCVが1万台となることと合わせて、世界の次世代自動車生産台数は897万台になると推計している。

 同社による20年の世界の4輪車生産台数推計は1億992万台で、次世代環境車がその8.2%を占めることになる。

 また、リチウムイオン二次電池、モータ、インバータ、高圧電線、燃料電池、充電器などの主要部材と、放熱/蓄熱部品・部材を合わせた27品目の10年の世界市場推計は、前年比33.8%増の638億円だった。20年には前年比26.7倍の1兆7,059億円に成長すると予測している。

 同市場は、HVやEVなど次世代自動車への需要の高まりに合わせて、前年比30~80%程度の大幅な伸びが期待でき、特に次世代環境対応車の発売が相次ぐ見込みの12~13年以降は、リチウムイオン二次電池、モータ、インバータ、高圧電線などの主要部材がいずれも前年比2倍以上の伸びを続ける見込みという。

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