火星探査車「スピリット」活動終了、最後の写真

2011年6月7日 11:15

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記事提供元:sorae.jp

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 米航空宇宙局(NASA)は5月25日、火星探査車(ローバー)の「スピリット」(MER-A)について、復旧通信の試みを断念し、活動終了と発表した。

 「スピリット」は2009年5月に「トロイ(Troy)」と呼ばれる場所を通過する際、車輪が柔らかい土に埋まり、身動きが取れなくなってしまい、運用チームは約半年間にわたってシミュレーションを行い、2009年11月から本格的な救出作業を開始したが、脱出までには至らなかった。

 NASAはその後、「スピリット」の脱出を諦め、静止観測点としての活動を続けると発表したが、冬を迎えると同時に「スピリット」は「冬眠モード」に入り、2010年3月22日の通信を最後に、通信できない状態が続いていた。

 「私たちの仕事はローバーの探査能力を最大限に使い切ることであり、スピリットでそれが実施できました。スピリットがどれほど長く動いて、どれだけ遠くへ移動したのも注目すべきことですが、本当に重要なのは科学探査での発見や、どれだけミッションを達成できたことなのです」

 今回の発表について、ジェット推進研究所・ローバープロジェクトのマネージャーであるジョン・カラス(John Callas)博士はこのように述べた。

 NASAは火星面を移動しながら探査する無人探査車として、2003年6月と7月に同型のローバー「スピリット」(MER-A)と「オポチュニティ」(MER-B)を打ち上げた。先に打ち上げられた「スピリット」は2004年1月3日、火星への軟着陸に成功、その3週間後の25日に「オポチュニティ」も軟着陸に成功した。

 両探査車はもともと90日間の活動予定であったが、「スピリット」は通信ができなくなる2010年3月まで、約6年間稼働していた。NASAは2010年3月22日以降、「スピリット」と交信できていないことから、3月に撮られたこれらの写真が「スピリット」から送信された最後の写真となった。

 写真=NASA。

 ■NASA's Spirit Rover Completes Mission on Mars
http://www.nasa.gov/mission_pages/mer/news/mer20110525.html

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