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ブランド見聞録:ブランドはマーケットを勝ち抜く経営ツールです:第3回 ブランド戦略は、企業の生き方
2010年生まれのお子様で多い名前は、男の子が『大翔』、女の子が『さくら』だそうです(明治安田生命調べ)。時代や世相によって名前にも流行があるようですが、それぞれにご両親のお子様に対する“想い”が込められています。その点は企業名や製品名もまったく同じではないでしょうか。※ちなみに日本の会社で多い名前は『アシスト』429社(2008年東京商工リサーチ調べ)。
■信頼を得て、初めてブランドになる
私がセミナーやコンサルティングを行って感じるのは、「名は体をあらわさない」企業が意外に多いということです。“想い”を込めて決めた社名のはずなのに、その“想い”を相手に上手く伝えようとせず、酷いところになると自らの“想い”を忘れている企業さえあります。前回までのコラムでも述べたように、ブランドの正体は、信頼感です。“想い”を伝えて信頼を得られなければ、それは他と区別するための単なる名前に過ぎず、何のチカラもなく、ブランドにはなれません。
■経営計画とブランド戦略は両輪
コンサルティングに伺うと「3年後には売上100億円を目指す」とか、「新たな販路を2つ以上は開拓する」など、すでに経営計画を立てている企業は数多くあります。しかし、「3年後にどんな企業像を目指しているのか」「100億円を売上るには、周りからどのような企業として認識されなければならないのか」といった、ブランド戦略を策定している企業は驚くほど少ないのが現状です。
企業の成長と発展に向けて取り組むべき課題を明確にし、戦略的な企業行動を実現するという点では、経営計画もブランド戦略も共通しています。その違いは、経営計画が現状延長型(現在の売上や成長率をベースに予測する)であるとすれば、ブランド戦略がゴール創造型(あるべきブランドの姿を想い描いて実現する)という点でしょう。マーケットにおいて中長期的に競争力を維持し、安定的な経営を望むのであれば、経営計画とブランド戦略は、課題を克服して目的地に向かうための車の両輪と考えるべきです。
このGW中に、世の中を騒がせた某焼き肉チェーンの運営会社は、経営計画に注力する余り、当初は掲げていたはずのブランド戦略(あるべきブランドの姿への想い)を疎かにした例といえるかも知れません。
■中小企業こそ、ブランディングに取り組むべき
ブランド戦略やブランディングというと、未だに「大企業のためのもの」と思っている方が多いようですが、それは間違いです。私は中小企業こそ取り組むべきであり、効果が出やすいと考えています。
ブランド戦略は、ブランドのあるべき姿を実現するための設計図であると同時に、経営者の“想い”のあらわれであり、中小企業にとっては企業の“生き方”といっても過言ではありません。中小企業は、その規模が小さいこと、社員数が少ないことを逆手にとって、経営者の強いリーダーシップのもと、明確なブランド戦略を立て、一丸となって速やかに行動し、キラリと光る強いブランドを創造することが可能なのです。
次回のコラムのテーマは、「ブランドは引力」の予定です。成功するブランドの共通点などについて語ります。
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