ワコールホールディングスは突っ込みを予想して指値買い=犬丸正寛の銘柄カルテ

2011年5月9日 19:41

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  【どうなっている】 ワコールホールディングス <3591> は、東日本大震災の下げで890円まで下げ、その後は引き戻して、ほぼ1000~1060円のモミ合いだった。前週末(5月6日)には1066円と買われ、モミ合い放れから震災発前水準の1100円前後を奪回する勢いだった。

  しかし、9日(月)の減額で51円安の1013円と急落。病院的に言えば退院から一転して再入院ともいえる動き。最近の営業利益最高は2008年3月期の135億4000万円で、これが2010年3月期には38億1000万円へ悪化していた。この間の営業利益率は8.1%から2.3%へ大きく悪化した。今期は急回復が見込まれていた。それが、減額となった。

  【どうなる】 9日に発表した11年3月期の減額は売上で23億円、営業利益14億円減額、純益で6億円だった。修正後の業績は売上1657億円(10年3月期1632億9700万円)、営業利益42億円(同38億1000万円)、純益26億円(同25億2400万円)へ。とくに、修正前には営業利益が46.9%増益予想だったが、10.2%増益へ縮小。営業利益率も2.5%、1株利益も18.4円にとどまる。

  減額の理由は国内子会社である「ピーチ・ジョン」に関する減損損失という。商標権、顧客名簿及びノレンについて合計17億7200万円を減損損失として計上する。同社は米国会計基準を採用しているため、これらの損失は営業費用になるという。

  このため、短期的には調整が予想される。とくに、4月4日の1065円に対し、5月6日の1066円は、「一文新値」型の天井形成となっている。しかも、9日は30日線を割り込んだこともある。ただ、13日発表予定の決算で2012年3月期の見通しが良ければ大きい下値はないだろう。

  【どうする】 2011年3月期の減額は減損ということで一過性とみることはできる。このため、13日発表の決算で2012年3月期の見通しがどの程度回復するかがポイントといえる。とくに、2011年3月期の1株利益18.4円で計算したPERは55倍台と非常に高い。医師なら健康宣言ということにはならないだろう。

  従来、マーケットでは2012年3月期の1株利益を35円程度と期待していた。このため、2012年3月期の1株利益が30円近いものでないと1060円台のフシ抜けは難しくなるだろう。960~970円の突っ込みを予想して指値買いを出しておくのもよいだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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