パイオニア・アノマリー、解決?

2011年4月2日 09:40

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記事提供元:スラド

  T.Sawamoto 曰く、

 長らく天文学上の謎とされてきたパイオニア・アノマリーが、3Dグラフィックモデルを用いた計算により解明されそうです(The Physics arXiv Blog本家/.)。

1972年と1973年に相次いで打ち上げられた惑星探査機パイオニア10号・11号は太陽系からの脱出軌道上にありますが、太陽の重力から計算される減速量よりもわずかに多く減速していることが判明しています。この「パイオニア・アノマリー」などと呼ばれる現象の要因としては、探査機が放出する熱とする説が有力ですが、従来の計算では多く見積もっても減速量の67%程度にしかなりませんでした。

熱の放射による減速を計算する場合、探査機の各部で反射する熱も考慮する必要があります。探査機は大きなパラボラアンテナを常に地球側に向けているため、アンテナ裏面で反射する熱の影響は特に大きいと考えられますが、従来の計算では熱の反射による影響を概算で加味していました。ポルトガル・リスボンにあるInstituto de Plasmas e Fusão Nuclear(IPFN: プラズマ・核融合研究所)のFrederico Francisco氏らはフォン・シェーディングの技法を用いて、熱が反射する方向と減速量に対する影響を正確に計算することに成功しました。フォン・シェーディングは可視光の反射を3Dオブジェクトの表面に適用するための技法ですが、Francisco氏らによると赤外光でも同様に使用できたとのことです。

現在、データを収集した米国のジェット推進研究所(JPL)は独自のモデルを使用して熱による影響を研究しており、他の研究グループによる検証も行われるものとみられます。

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