割安に買いなし=犬丸正寛の相場格言

2010年11月11日 10:13

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

割安に置かれているにはそれなりの理由があるので、単純なひらめきで買うことは避けるのがよいという教えです。「割安」という時は、必ず「比較」が存在します。1つは他の銘柄と比較すること、もうひとつは、その銘柄の過去の数値などと比べることです。

割安に置かれているにはそれなりの理由があるので、単純なひらめきで買うことは避けるのがよいという教えです。「割安」という時は、必ず「比較」が存在します。1つは他の銘柄と比較すること、もうひとつは、その銘柄の過去の数値などと比べることです。[写真拡大]

■割安に買いなし

  割安に置かれているにはそれなりの理由があるので、単純なひらめきで買うことは避けるのがよいという教えです。「割安」という時は、必ず「比較」が存在します。1つは他の銘柄と比較すること、もうひとつは、その銘柄の過去の数値などと比べることです。

  他の銘柄と比べるときは、同じ業界の銘柄同士でA銘柄のPERは20倍、B銘柄は15倍だからB銘柄が割安という使い方です。もうひとつのケースは、同じ銘柄において6ヶ月前のPERは20倍だったのが12倍まで下がったから割安という見方です。どちらも間違いではありませんが、この見方が成り立つためには大前提として、「全体相場が上昇基調にある時」ということを忘れてはいけません。全体相場が上昇基調をキープしている時は先に上がったA銘柄に対しB銘柄が割安、即ち、出遅れていると判断できます。また、全体が上昇基調ならPERが20倍から12倍まで下がれば、絶好の調整・休息場面として買うことはできます。

  しかし、全体相場が単なる調整ではなく、基調が下落へ転換する可能性があります。原油高、円高、サブプライム問題の影響によるアメリカ景気の悪化などによって日本のマーケットは下降局面に入った可能性が極めて強い状況です。このような時に、うっかり割安判断で買うことは危険です。見方には注意が必要です。ここで、もう一度PERについての確認が必要です。PERの高いことは成長性の高いことで、低いことは成長性に乏しいことです。日本のこれからは少子高齢化、平和慣れした国民の勤労意欲低下、資源高騰などによって、日本のGDPが増えることは難しい状況です。GDPの成長が期待できない中で市場全体のPERが高く評価されることは困難です。

  昔から、マーケットには『万年割安株』という銘柄尺度があります。堅実だが成長性がないため、時折、買われる程度でいつも割安に置かれている銘柄という意味です。今の日本も世界のマーケットにおいて同じような存在、つまり「万年割安国家」になりつつあることを頭に入れて投資すべきです。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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