ユニチカトレーディング 産資拡大に中国対策

2010年10月6日 09:39

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記事提供元:日本繊維新聞

 ユニチカトレーディング(UTC)は10年度下期、衣料繊維事業における収益改善策を引き続き強化する一方、今後の成長を担う産業資材事業において、加工度を上げた商材の拡販、中国を中心とするアジアへのアプローチに本腰を入れていくための取り組みに力を入れる。

 UTCは10年度上期、市況回復という環境要因の後押しとともに、この間の構造改善効果を発現させ「業績を予想以上に順調に推移させた」(松永卓郎社長)という。

 何よりも旧4社を統合したことによるコスト合理化効果が業績回復に寄与したほか、情報共有などのために進めてきたさまざまなプロジェクトに伴う相乗効果が現れ始めたとしている。

 下期以降も衣料繊維事業における「中身の改善」(松永社長)に重点化。不採算事業の峻別、付加価値品への商品構成転換、コストダウンなどを徹底し、衣料繊維事業における黒字体質の浸透と取り組んでいく。

 10年度からUTC傘下に移行してきた繊維関連17社との一体運営にも着手し、「全体をかさ上げしたい」(同)としており、まず17社の強み、弱みを把握した上でUTCとの連携を強化し、既存ビジネスの拡幅、新規ビジネスの開拓につなげる。

 同業他社に比べ遅れていた海外事業では、先染めシャツ地を展開するインドネシア・ユニテックスとの連動に乗り出し、ユニフォーム用「パルパー」の紡績から現地生産をスタートさせてきた。

 10年度は紡績工場長だった人材を新社長としてインドネシアに派遣。UTCとの連動で「付加価値型のビジネスを創出する」物作りのためのインフラ整備・充実を改めて取り組んでいく。

 UTCは現状で年商の3分の1を占める産業資材事業で「今後の成長戦略を描いていきたい」としており、10年度は成長市場のアジアにアプローチしていくための対策を立ち上げる。

 旧ユニチカテキスタイルが中国縫製のために展開してきた北京ユニチカテキスタイル貿易有限公司の機能を強化するため、同社の定款を変更後、華北での販促活動を本格化。ユニチカ・高分子事業部門が展開するナイロンフィルムや高機能樹脂の拡販を目指す。

 産業資材事業では、スルービジネスにとどまらず、ユーザーニーズに応じた加工品で企画提案・供給できる体制整備にも意欲を示している。

 UTCは10年度、売上高656億円、営業利益4億円を計画。衣料繊維の収益向上、産業資材の拡大で営業利益を「早期に10億円台に乗せたい」考えだ。

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