アクリルメーカー 新素材開発が活発化

2010年10月5日 09:34

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記事提供元:日本繊維新聞

 アクリルメーカーが秋冬の肌着を中心とする販促に力を入れている。10年秋冬では暖か肌着の各ブランドが入り乱る激戦区の様相を呈しており、アクリルメーカーは暖か肌着のゾーンにおける一層の浸透、シェアアップを目指した新素材の開発を強化するとともに、マイクロアクリルや高機能アクリルを肌着以外へも広げていくための開発・販促と取り組んでいる。

 アクリルメーカーが新素材開発を改めて強化している。マイクロアクリルのバリエーション化や機能性を付与したタイプなどによる商品ラインの拡充と取り組んでおり、秋冬の暖か肌着での一層の浸透を目指すとともに、用途やシーズンの拡大とも意欲的に取り組んでいる。

 日本エクスラン工業は11年秋冬に向けてアクリレートの新素材「シータ」やマイクロアクリルの新タイプ「バルキーナ」をラインアップする。

 同社は単糸0・5D弱だったマイクロアクリル「極衣」に09年秋冬から0・3D弱の新タイプを追加。11年秋冬では、軽さを損なうことなく膨らみ感、ふわふわ感ももたせた「極衣」ファミリーの新素材「バルキーナ」を開発した。

 「シータ」は過剰な保温機能がもたらす蒸れ感、べとつき感の解消を目的に開発した2層構造の高機能素材。11年秋冬に向けて「シータ」30%/マイクロアクリル70%で混紡糸のバリエーション拡充を進めている。

 また、「これまで攻め切れていなかった」スポーツやスポーツカジュアルへの用途拡大を計画。「極衣」や吸湿発熱「エクス」、遠赤外線放射「セラム」などでスポーツアパレルや量販店狙いの取り組みを進めている。

 三菱レイヨンはマイクロアクリル「MIYABI」シリーズをセーター、ジャージ向けを含めて打ち出すとともに、新たに開発した消臭素材「キュートリー」や「トリプルワン」の新企画を前面に11年秋冬商戦に臨んでいる。

 「キュートリー」は「ボンネル」/アセテートによる複合原綿「A・H・F」の改質で消臭性能をアップさせた新素材。綿混やレーヨン混による企画提案と取り組んでおり、春夏アイテムを含む通年をカバーする基幹素材への育成を目指す。

 「トリプルワン」はいずれも極細の「ボンネル」、レーヨン、綿をミックスした3者混の混紡糸。11年秋冬に向けては、バルキータイプを打ち出すほか、太陽光発熱「コアブリッド サーモキャッチ」、オーガニックコットンなどとのミックスで商品ラインの幅出しと取り組んでいる。

 自社開発だけでなくセルロース繊維メーカーや紡績メーカー、商社などとのコラボレーションも積極化させており、商品ラインのグレードアップによって「肌着用途でさらに『ボンネル』を浸透させる」とともに、セーター、ジャージなどへもマイクロアクリルの用途を広げていきたい考えだ。

 東レは単糸0・6Dの「オルピア」、同0・9Dの「シルウォーム」という2タイプのマイクロアクリルを展開しており、これらよりさらに細い新タイプの開発を急いでいる。

 新タイプの完成とともに中国トップゾーンへのアプローチを本格化。毛番手で100番手以上の細番手糸を導入し肌着、ジャージ、セーターなどへの売り込みを計画しており、11年秋冬のテストセールを経て、12年秋冬からの量産を目指す。

 東邦テキスタイルは「マテニーヒート」の拡販を計画。09年秋冬では暖か肌着向けに100万枚超(製品換算)を投入。10年秋冬では150万枚超へと引き上げる。

 「マテニーヒート」はマイクロアクリル「マテニー」と独・ケルハイムファイバーズが展開する扁平レーヨン「バイロフト」との混紡糸。紡績糸から製品を中国協力工場で一貫生産する体制で秋冬の暖か肌着を中心とする企画提案と取り組んでいる。


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