関連記事
ユミルリンク Research Memo(4):メールの高速かつ効率的な大規模配信を可能とする技術力が特長・強み
*12:04JST ユミルリンク Research Memo(4):メールの高速かつ効率的な大規模配信を可能とする技術力が特長・強み
■事業概要
2. 特長・強み
ユミルリンク<4372>の特長・強みとしては、メールの高速・大規模配信を可能にした独自の技術力、データ分析専門チームにおいて月間80億通を超える通信記録を分析できる技術力などが挙げられる。メールの大規模配信市場においてはメールサーバーをチューニングして高速化に対応するのが一般的とされるが、同社は高速化に特化した設計思想と高速化に適した並列処理指向言語「Erlang(アーラン)」を採用し、独自開発した配信エンジン(MTA)により高速・確実な通信制御を実現した。このような高速・大規模配信技術力とデータ分析力の両方を有していることが競合優位性となり、メール配信ベンダー市場における同社の市場シェアは上昇基調(2021年12月期は8.2%で第4位、2022年12月期は9.9%で第4位、2023年12月期は10.8%で第3位)となっている※。
※ 同社の「事業計画及び成長可能性に関する説明事項」による。
また同社の「Cuenote」シリーズは、企業のプロモーション(ECサイトの販売促進、利用者認証、流通の来店促進、タイムイベント告知など)以外にも、企業のIR・PRアンケート、金融・保険分野の株価アラート、約定通知、満了・更新日案内、鉄道・航空・ホテル・レジャー分野の予約確認、搭乗・来場リマインド、新聞・出版分野のニュース速報、電気・ガス・通信分野の料金通知、工事日案内、自治体・警察・学校分野の防災・防犯通知、登下校通知など、様々な目的・業種で活用されている。
なお同社単体ベースの従業員のうちエンジニア比率は54.1%(2024年12月末現在)である。国内の3エリア・6ヶ所にデータセンターを分散して設置しており、99.99%以上の高い稼働率を実現している。そして企画・設計・開発・販売から運用・保守まで、充実したサポート体制を含めて一気通貫のソリューションを提供し、継続的に顧客との強固な信頼関係を構築している。
SaaS型のストック収益が9割超で高利益率のビジネスモデル
3. 収益構造と主要KPI
同社の収益構造は、コストが人件費とデータセンター関連費で大半を占めている一方で、ストック収益(SaaS型のサービス利用料)が9割超(2024年12月期実績は97.1%)を占める高利益率のビジネスモデル(2024年12月期実績の売上高営業利益率は23.9%)である。「Cuenote」シリーズ全サービスの合計解約率が月平均0.4~0.5%程度(2024年12月期の月次解約率は0.41%)と低水準で推移し、NRR(Net Revenue Retention:売上継続率)は100%超(2024年12月期実績はメール系が103.3%、SMS系が103.9%)で推移しているため、契約数増加(新規契約+継続契約)によってストック収益が積み上がる収益構造となっている。
「Cuenote」シリーズはリリース以来、様々な業種の大企業や官公庁・地方自治体を中心に採用され、有効契約数は2024年12月期末時点で2,500を超えている。このうち上場企業の導入数は272社となっている。2024年12月期の新規導入実績としては、メール系ではSMBCグループのCCCMKホールディングス(株)、(株)埼玉りそな銀行、(株)三菱UFJ銀行、(一社)放送サービス高度化推進協会(A-PAB)、毎日新聞社系の(株)毎日企画サービスなど、SMS系ではイワイ物流(株)、(株)Scene Live、愛知県刈谷市役所などがある。またメルカリ<4385>がCuenote SR-Sを導入した。
製品・サービス別の売上高、主要KPIの過去3期(2022年12月期~2024年12月期)の推移は以下のとおりである。2024年12月期の売上高はメール系が2,257百万円(売上構成比84.6%)、SMS系が350百万円(同13.1%)、その他が61百万円(同2.3%)だった。メール系は売上高、期末MMR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)、ストック売上高とも増加基調である。またアップセル・クロスセルの成果により契約当たりの平均利用額も増加基調だ。SMS系は2022年12月期に一過性収益を計上した反動で2023年12月期の売上高が減少となっているが、この影響を除けば増加基調である。なお全社平均のストック売上比率は97%台で推移している。
市場環境は良好、競合優位性の源である技術力で市場シェア拡大余地あり
4. リスク要因と課題・対策
システム開発・情報サービス産業における一般的なリスク要因としては、景気変動などによる企業のIT・DX投資抑制、市場競合の激化、品質不具合やシステム障害の発生、技術革新への対応遅れ、知的財産権、人材の確保・育成、協力会社・販売パートナーとの関係、法的規制などがある。
同社を取り巻く市場動向として、同社資料によると、顧客接点/CXの市場規模は2025年12月期予測3,738億円で、このうちメール送信市場は208億円、SMS送信サービス市場は283億円である。そして今後も消費者との接点がリアルからデジタルへシフトする流れが加速することが予想されており、同社にとって市場開拓余地は大きいと弊社では見ている。またメール配信ベンダー市場における同社の市場シェアは2023年12月期実績で10.8%(第3位)であり、同社の競合優位性の源である技術力によって市場シェア拡大余地も大きいと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《HN》
スポンサードリンク