関連記事
フライトソリューションズ、キャッシュレス化の追い風を受け、新サービスTapionが市場拡大へ、26年3月期収益回復期待
フライトソリューションズ<3753>(東証スタンダード)はマルチ決済装置などの電子決済ソリューションを主力として、システム開発やECサイト構築なども展開している。25年3月期(非連結決算に移行)は減収・赤字予想としている。決済ソリューション事業において大口案件納品が顧客都合により期ズレ(26年3月期第2四半期より順次納品予定)となった。積極的な事業展開で26年3月期の収益回復基調を期待したい。株価は動意づいて乱高下する形となった。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■電子決済ソリューションが主力
23年10月1日付で、旧フライトホールディングスが子会社のフライトシステムコンサルティングを吸収合併し、持株会社から事業会社に経営体制を再編するとともに、商号をフライトソリューションズに変更した。
マルチ決済装置などの電子決済ソリューションを主力として、システム開発やECサイト構築も展開している。セグメント区分は、電子決済ソリューションなどの決済ソリューション事業、システム開発・保守・コンサルティングなどのSIソリューション事業、B2B(企業間取引)ECサイト構築システムのECソリューション事業としている。
24年3月期は、決済ソリューション事業の売上高が18億61百万円で営業利益(全社費用等調整前)が5百万円、SIソリューション事業の売上高が12億17百万円で営業利益が1億96百万円、ECソリューション事業の売上高が1億29百万円で営業利益が15百万円の損失だった。収益は決済ソリューション事業の大型案件によって変動する傾向が強い。
■決済ソリューション事業
決済ソリューション事業は、スマートデバイスを活用したカード決済ソリューションの開発・販売を展開し、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末のIncredistシリーズを主力としている。24年4月には新モデルとしてIncredist Premium Ⅲをリリースした。24年11月にはIncredistの製造について、これまでは国内と海外の2拠点で分担して製造してきたが、25年度から岩崎通信機に集約して国内製造すると発表した。サプライチェーン改善で生産効率向上と競争力強化を図る。
市販のAndroid携帯を使ってカードのタッチ決済を実現する小・中規模事業者向けの新しい決済ソリューションTapion(タピオン)については、自社決済センター(フライト決済センター)を構築し、NTTデータの拡張性の高い決済伝送サービス「GAFIS GlobalGEAR」に接続して運用する。カフェ、カジュアルレストラン、キッチンカー、屋台、朝市など小・中規模事業者のキャッシュレス決済およびタッチ決済の普及拡大に努める方針だ。
24年2月には法人プリペイドカード「Tapionカード」において国際決済ネットワークがMastercardに決定し、共同印刷グループのTPSとの提携で発行開始した。24年9月にはテレビ大阪YATAIフェス!2024におけるVisaのタッチ決済にTapionが採用された。24年12月にはフライト決済センターにおいて非対面取引(eコマース)を開始した。これにより、対面決済と非対面決済の両方に対応可能なオールインワンプラットフォームとして、登録型継続課金サービス(リカーリング)を展開する。25年2月にはTapionがNTTデータのコード決済ゲートウェイに接続し、9種類のQRコード決済の対応を開始した。25年3月にはクレジットカード対応にJCBブランドを追加した。
自動精算機分野では、米国ID TECH社製VP6800を国内の飲料自動販売機や駐車場無人自動精算機などに接続するため、マルチ決済端末VP6800・IFCを製品化している。19年6月にはGMOフィナンシャルゲート(GMO-FG)と接続開始し、GMO-FGを通じた決済ソリューションとして自動精算機向けVP6800・IFCの拡販を推進している。23年7月には三菱プレシジョンのパーキングシステムにVP6800が採用され、総合カタログ・WEBサイトに掲載されたとリリースしている。
■電子決済ソリューションはキャッシュレス化が追い風
電子決済ソリューションはキャッシュレス化の流れが追い風となり、決済種類・ブランドの拡大、電子マネーブランドの拡大、決済端末製品ラインアップの拡充、決済パートナーの拡大、ストック型ビジネスモデルの拡大など、電子決済ソリューションの展開を加速している。
18年5月には三井住友カードと包括加盟店契約を締結した。三井住友カードの代行として加盟店開拓・契約締結・管理を行い、継続的に手数料収入が得られるストック型収益となる。22年3月には三菱UFJニコスとクレジットカード決済における包括的加盟店契約を締結、22年6月にはジェーシービー(JCB)と各種クレジットカード決済および電子マネー決済における包括代理店加盟契約を締結、22年8月にはSBペイメントサービスと包括代理店加盟店契約を締結した。製品販売に加えて決済代行事業も推進する。
22年3月には、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律の規定に基づき、マイナンバーカードを活用した公的個人認証サービスのプラットフォーム事業者として、主務大臣認定(本認定においては総務大臣と内閣総理大臣)を取得した。
22年5月にはiPadとIncredist Premium Ⅱを活用したマイナンバーカード読取によるシンクライアント型公的個人認証サービスmyVerifist(マイ・ベリフィスト)を開始した。23年5月にはmyVerifistシリーズ第2弾「医療エディション」を発表した。マイナンバーカードの健康保険証利用とキャッシュレス決済で医療機関のDX化を支援する。24年6月にはmyVerifistの機能を拡充し、運転免許証、在留カード・特別永住舎証明書、パスポートまで本人確認が可能になった。24年12月にはmyVerifistの機能拡張に向けて、iPhoneに搭載されたマイナンバーカードを用いて本人確認を行う技術開発の開始を発表した。
25年2月には自社運営のフライト決済センターのサービスを拡充し、J―Debitサービスの提供を開始した。25年3月には三菱UFJ銀行と協業開始した。三菱UFJ銀行の決済ネットワーク「SP-NET」と接続して市場開拓を推進する。
■SIソリューション、ECソリューション
SIソリューション事業は公共系・音楽配信系・金融系・物流系・放送系などのシステム開発を展開している。23年4月にはGoogle CloudのServiceパートナー認定を取得、24年4月にはGoogle Cloud Partner Advantageプログラムにおいてエキスパティーズ認定を取得、24年6月にはソフトバンクが運営する法人パートナープログラムONE SHIPのソリューションパートナーとして認定された。
ECソリューション事業は、卸売・企業間取引に特化したECサイト構築システムのEC-Rider B2Bを展開している。また伝票処理自動化ソリューションの新製品OCRiderの拡販も推進する。24年6月にはEC-Rider B2Bの新バージョンEC-Rider B2B Ⅱをリリースした。
■25年3月期は赤字予想、26年3月期の収益回復期待
25年3月期通期の業績(非連結)予想は2月14日付で下方修正して、売上高が30億60百万円、営業利益が3億40百万円の損失、経常利益が3億70百万円の損失、当期純利益が3億75百万円の損失とした。
前回予想(24年5月15日付の期初予想、売上高41億50百万円、営業利益1億円、経常利益80百万円、当期純利益60百万円)に対して、売上高を10億90百万円、営業利益を4億40百万円、経常利益を4億50百万円、当期純利益を4億35百万円それぞれ下方修正した。また前期の連結業績(売上高32億08百万円、営業利益1億03百万円の損失、経常利益94百万円の損失、親会社株主帰属当期純利益1億05百万円の損失)との比較で見ると、減収・損失拡大となる。決済ソリューション事業において当期に計画していた大口案件の納品が顧客都合により期ズレ(26年3月期第2四半期より順次納品予定)となったほか、SIソリューション事業において顧客都合による開発プロジェクト中断に伴い損失が発生したことも影響する見込みだ。
第3四半期累計は売上高が23億19百万円、営業利益が2億41百万円の損失、経常利益が2億69百万円の損失、四半期純利益が2億71百万円の損失だった。当期より非連結決算に移行したため前年同期の連結業績(売上高が24億07百万円、営業利益が29百万円の損失、経常利益が30百万円の損失、親会社株主帰属四半期純利益が42百万円の損失)との比較で見ると減収・赤字拡大となった。
SIソリューション事業は売上高が9億17百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が1億11百万円だった。連結ベースの前年同期は売上高が8億76百万円で、営業利益が1億17百万円だった。顧客都合により開発プロジェクトの一つが中断したため減収減益だった。
決済ソリューション事業は売上高が13億17百万円で、営業利益が85百万円の損失だった。連結ベースの前年同期は売上高が14億43百万円で、営業利益が91百万円だった。前期の無人自動精算機向けマルチ決済端末「VP6800」の大型案件の反動に加え、電子決済ソリューション「Incredist」シリーズ、Androidスマホによるタッチ決済ソリューション「Tapion」、無人自動精算機向け決済ソリューション、マイナンバーカードを用いた公的個人認証サービス「myVerifist」の開発に注力したため減収・赤字だった。
ECソリューション事業は売上高が85百万円で、営業利益が37百万円の損失だった。連結ベースの前年同期は売上高が87百万円で、営業利益が15百万円の損失だった。B2B向けECサイト構築の新パッケージ「EC-Rider B2BⅡ」への移行の際に改善ポイントが見つかり、その対応を行った結果、顧客のECサイトのリリース遅延が発生したため減収減益だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が5億53百万円で営業利益が1億41百万円の損失、第2四半期は売上高が8億49百万円で営業利益が94百万円の損失、第3四半期は売上高が9億17百万円で営業利益が6百万円の損失だった。
25年3月期は赤字予想となったが、大口案件納品が顧客都合により期ズレとなることが主因であり、積極的な事業展開で26年3月期の収益回復基調を期待したい。
■株価は急動意
株価は動意づいて乱高下する形となった。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。3月14日の終値は232円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS47円85銭で算出)は約4.8倍、時価総額は約25億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
【関連記事・情報】
・【株式市場特集】株主優待制度、企業の新たな株主還元戦略として台頭(2025/03/10)
・【重複上場の可能性】名証・福証への重複上場が企業にもたらすメリット(2025/03/02)
・【東証改革の光と影】悲鳴を上げる上場企業―MBO急増で初の上場企業数減少へ(2025/03/05)
・【株式市場特集】市場不安定時に光る地方創生株と重複上場銘柄の可能性、不透明相場でしぶとさ見せる(2025/03/03)
※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク