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解体工事専業:田中建設の収益動向は読みづらいが、中計は着々とこなしている
田中建設工業(1450、東京スタンダード市場、5月からTANAKENに社名変更)。建築構造物の解体工事に特化している。
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2月7日に今3月期の通期計画を修正している。期初は「13.1%増収、0.5%営業減益」で立ち上がったが、「12.4%の増収(120億円)、24.4%営業増益(20億円)」に変更された。「修正は期初段階での足元の環境の読み違い」というのは易い。田中建設の「修正の理由」に触れると、業態ゆえの難しさを覚えざるをえなかった。
「堅調な受注環境を背景に受注残高は潤沢であり、大型案件の着工が計画比で減少したことに加えて、開発プロジェクト全体の遅れ等はあるものの、大型工事の増加に伴う生産性の向上により減収・増益の見込みとなったため通期予想を修正した」と説明した。
田中建設に関しては2021年3月期「35.3%増収、80.1%営業増益」に接した折り、「コロナ禍の影響とは全く無縁な業態なのか」と思い、問い合わせたことがある。こんな返事をもらった。
「感染拡大の収束等、不透明感はある。建設労働者の需給逼迫は依然として続いており、不安の残る状況ではある。が高度成長時代に建築した案件の再開発の活発化で、現状では引き続き良好な受注環境が続いている」。
今回の修正と合わせ、安易に収益予想数字の上っ面を撫でるだけでは分からないことがあることを改めて思い返している。
ただこんな事実もある。今期修正後の売上高は、2期前倒しで「100億円」を突破することになる。そのうえで田中建設では至2026年3月期の中計を掲げている。「売上高140億円(23年3月期比24.5%増)、営業利益17億円(9%増)、純益12億円(10%増)、人員160名(58%増)、施工管理者70名(49%増)」。
この業界を知るアナリストは「中期スパンで捉えると、後ずれなどの問題が起こっても、今という時代を勘案すると売り上げが大きくへこむことはない。しかし利益面は、人件費負担増などが根っこにあり大幅な伸びは想定しづらい」とする。
本稿作成中の株価は1200円台終盤。予想税引き後配当利回り3.13%水準。昨春の1000円割れから総じて右肩上がりに転じ、2月7日の1370円まで買い戻された後の小幅揉み合い場面。
2018年の初値から7年近くの修正済み株価パフォーマンスは2倍弱。依然、老朽建物の解体需要は続く。中長期保有も一法だろうが、押し目狙いの3%強の好利回り投資も・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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