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買収拒否報道のセブン&アイ、その行方は?
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●セブン&アイが買収提案拒否報道で株価下落
国内流通大手のセブン&アイホールディングスが、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールからの買収提案を拒否し、自力での企業価値向上を目指すと、読売新聞などが報じている。
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報道を受けて、株価は一時10%安となり、24年8月以来の日中安値を記録した。その後、セブンが買収拒否について、「そのような事実はない」とコメントし、下げ幅を縮小した。
ロイター通信によると、セブンは6日に取締役会を開き、井坂社長が退任し、スティーブ・ヘイズ・ディスカス取締役会議長が後任として就任することが有力視されている。
自社ブランド開発やドミナント戦略など、革新的なアイデアで国内のコンビニ業界を引っ張り、セブン1強時代を築いたが、傘下のスーパー事業の苦戦や海外コンビニ事業の低迷などで苦境が続くセブン。
セブンに復活の芽はあるのだろうか?
●創業家によるMBOが失敗
2月には、伊藤順朗副社長らセブン&アイ創業家による、MBO(経営陣による買収)が断念されていた。
伊藤忠商事が1兆円を超える自己資本提供者となるはずだったが、参画を見送った。
伊藤忠は、すでに大手コンビニ・ファミリーマートを傘下に持っているが、物流網や食料品調達で連携することにより、相乗効果を見込んでいたものの、伊藤忠・岡藤会長は「当初のスキームに無理があった」と、取材に語っている。
「金融機関の計画への融資が決まらなかった」ことや、「タイの財閥チームCPグループが参画しなかったこと」などを、見送りの理由に挙げている。
●自力での立て直しができるのか?
そもそもクシュタールの買収提案は、米国内店舗数1位と2位の統合となり、反トラスト法(独占禁止法)に抵触する恐れがある。
反トラスト法抵触への懸念は払しょくできておらず、セブン側もクシュタールに対し、その解決策を提示していないと指摘している。
国内外ともに物価高による消費意欲の低迷は深刻で、セブンが自力での企業価値向上を目指すのは、いばらの道である。
仮に、クシュタールの買収が破談となっても、他社からの買収提案や投資ファンドからの注文も避けられない。セブンだけでなく、国内のコンビニそのものの概念を覆すような転換がないと、自力での企業価値向上は厳しいだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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