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人手不足が加速する建設業界 自動化やAIだけじゃない「流通」からの改善とは?
世界的なエネルギー価格の高騰や、供給チェーンの混乱などがあり、一刻も早い物価の安定が求められている[写真拡大]
2024年は日本国内で多くの問題と課題が浮上した年だった。経済の分野では物価高が深刻な影響を及ぼし、生活費の上昇が多くの家庭に負担を強いている。この背景には世界的なエネルギー価格の高騰や、供給チェーンの混乱などがあり、一刻も早い物価の安定が求められている。
また、製造業や物流業の各方面では人手不足も顕在化した。働き方改革の影響による物流の2024年問題が大きな話題となったが、人手不足や高齢化などによる労働力の減少は物流現場だけの課題ではない。自動化技術やAIを導入することで対策を講じている企業や業界もあるが、これらの技術も完全には普及しておらず、コスト面の問題も大きい。政府も労働力を確保する目的で外国人労働者の受け入れを進めているが、これも根本的な解決策とは言えない。とくに建築現場などは、自動化技術やAIなども導入しにくい「人」の技術や経験に依る作業が大部分を占めるため、問題はさらに深刻だ。
大手の建設現場では、竹中工務店がレンタルのニッケンと共同で開発した次世代墨出しロボット「SUMIDAS」や、清水建設の溶接ロボット「Robo-Welder」、多能工作業ロボット「Robo-Buddy」などの建設ロボットの導入も進んでいるが、一般的な住宅建設の現場にはハードルが高い。また、住宅メーカーの積水ハウスでは早くから女性の施工技術者や技能者の育成に注力して一定の成果を上げているが、これも大企業だから可能な施策だ。
そんな中、住宅総合メーカーのAQ Groupが保有する埼玉県上尾市の木造建築技術研究所内に「施工効率化センター」を新設したことで話題になっている。同施設では、大工の作業効率を大幅に向上させる「在来木造ジャストイン配送システム」など、AQ Groupが約20年にわたって取り組んできた建築資材の配送システム改革を進化させるもので、「包装」「輸送」「倉庫保管」「荷役」「流通加工」「情報管理」「SDGs」の7つの研究を手掛け、「再利用可能な梱包材の開発」や「トラック以外の輸送方法研究」、「簡易ボックスのレンタル利用による費用対効果の検証」などに取り組むという。
住宅建設の際に輸送される建築資材の多くが大きく、長く、重いものであるため、運ぶだけでも重労働だ。また、現場でそれらを仕分けし、加工するのも負担が大きい。ここが改善されれば、現場で働く技術者の負担も軽減され、効率化や省力化にもつながるだろう。これからの建設業にとって、自動化やロボット、AIなどの導入ももちろん大切だが、現場の負担を減らし、技術を持つ職人たちが仕事に集中できる環境を整えることも大事だ。その上で消費者にとっても良い暮らしへとつながるのではないだろうか。(編集担当:今井慎太郎)
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