関連記事
粧美堂 Research Memo(4):2024年9月期はおおむね計画水準の2ケタ営業増益で着地
*14:04JST 粧美堂 Research Memo(4):2024年9月期はおおむね計画水準の2ケタ営業増益で着地
■粧美堂<7819>の業績動向
1. 2024年9月期の業績概要
2024年9月期の連結業績は、売上高が前期比2.3%増の20,919百万円、営業利益が同16.2%増の1,010百万円、経常利益が同0.4%減の967百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同62.8%増の773百万円と、おおむね計画(2023年11月13日付の期初計画値、売上高21,000百万円、営業利益1,000百万円、経常利益990百万円、親会社株主に帰属する当期純利益720百万円)水準の2ケタ営業増益で着地した。自社企画商品の売上高は同4.7%増の17,850百万円、売上構成比は同1.9ポイント上昇して85.3%となった。
前期比で見ると、売上高は採算性の低いOEM案件の受注を戦略的に抑制した影響で小幅増収にとどまったものの、重点販売先に対する営業強化戦略を継続し、インバウンド消費拡大も追い風に自社企画商品の売上が伸長して過去最高を更新した。売上総利益は同2.5%増加し、売上総利益率は横ばいの26.3%だった。コスト面では為替の円安進行を含む原価高騰がマイナス要因だったが、一方で自社企画商品の拡販、売価引き上げ、高価格帯商品の投入、選別受注などによって前期と同水準の売上総利益率を維持した。販管費は同0.1%減少し、販管費率は同0.5ポイント低下して21.5%となった。販管費同0.1%減の内訳は人件費が同4.2%減、販売促進費が同12.1%増、広告宣伝費が同21.7%減、物流費が同10.6%増、減価償却費が同6.4%増、一般管理費他が同8.2%減だった。物流コスト上昇で物流費が増加したが、中国市場の停滞に対応してコンタクトレンズを中心とした中国事業の業務を大幅に縮小したことに加え、物流業務の一部を3PL業者へ移管して物流業務に関わる人件費を圧縮した。
この結果、営業利益率は同0.5ポイント上昇して4.8%となった。営業利益同141百万円増加の要因分析は、外貨建て仕入に係る為替変動影響で同346百万円減、円建て仕入に係る国内仕入先の商品原価増で同230百万円減、自社企画商品の販売単価上昇で同576百万円増、販売数量増加で同58百万円増、販管費増加(物流費など変動費の増加)で同119百万円減、その他(廃棄損減少、その他決算処理)で同201百万円増だった。経常利益については、営業外で為替デリバティブ取引の時価評価に伴う為替差損益が差引同143百万円悪化(前期為替差益87百万円に対して為替差損56百万円)したため小幅減益だった。親会社株主に帰属する当期純利益については特別利益に関係会社出資金売却益97百万円を計上したため大幅増益だった。
化粧品、化粧雑貨の売上が順調
2. 売上の動向
売上高の動向として製品・サービス別に見ると、化粧品は前期比2.5%増の8,105百万円、化粧雑貨は同7.1%増の6,907百万円、コンタクトレンズ関連は同1.1%減の2,508百万円、服飾雑貨は同10.9%減の2,240百万円、その他は同11.5%増の1,158百万円だった。主力の化粧品、化粧雑貨が順調に伸長した。化粧品は重点販売先への営業強化により、バラエティショップ向けの人気キャラクターをあしらったスキンケア商品を中心に、全般的に順調だった。化粧雑貨はヒートカーラーやネイル関連などが好調だった。コンタクトレンズ関連は、中国の孫会社(壹見健康科技(上海)有限公司)を売却した影響で微減収だが、国内は好採算のカラーレンズが好調だった。服飾雑貨は一部の重点販売先に対する売上が減少した。その他は人気キャラクターをあしらったペット関連商材の投入などが寄与した。
業態別に見ると、総合スーパーが同5.0%減の1,450百万円、バラエティストアが同16.4%増の1,903百万円、ドラッグストアが同6.0%増の1,731百万円、卸売業者が同26.6%増の1,423百万円、ディスカウントストアが同3.5%減の4,757百万円、ネット通販が同23.2%増の1,941百万円、均一ショップが同3.5%減の5,365百万円、その他が同4.4%減の2,345百万円だった。均一ショップは案件ごとの採算性を重視して選別的に受注を行ったため小幅減収となったが、一方でバラエティストア、卸売業者、ネット通販が大幅に伸長した。重点販売先20社の売上高は同3億円減少して138億円、売上構成比は同3ポイント低下して70%となった。原価高騰に伴って一部販路で受注選別を行ったため売上高が減少し、売上構成比も低下したが、新規OEM先獲得などで重点先以外の売上高が増加した。
財務健全性を維持
3. 財務の状況
財務面で見ると、2024年9月期末の資産合計は前期末比769百万円減少して14,427百万円となった。主に投資有価証券が950百万円増加した一方で、現金及び預金が1,277百万円減少、売掛金が499百万円減少した。負債合計は同1,045百万円減少して7,851百万円となった。主に有利子負債残高(長短借入金合計)が同519百万円減少して4,708百万円となったほか、未払法人税等が333百万円減少した。純資産合計は同275百万円増加して6,575百万円となった。繰延ヘッジ損益が145百万円減少した一方で、利益剰余金が480百万円増加した。この結果、自己資本比率は同4.8ポイント上昇して45.6%となった。金利上昇に備えて有利子負債を圧縮したほか、より有利な投資機会を求めて定期預金の一部を投資有価証券に振り替えた。自己資本比率が上昇し、キャッシュ・フローの状況を含めて特に懸念材料は見当たらず、財務健全性が維持されていると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《HN》
スポンサードリンク