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マーチャント・バンカーズ、25年10月期大幅営業・経常増益予想、10億円体制の家賃収入を確立、不動産事業が好調
マーチャント・バンカーズ<3121>(東証スタンダード)はマーチャント・バンキング事業として不動産・企業投資関連などを展開し、安定的収益源となる資産性の高い収益不動産の取得を推進するとともに、新規分野にも積極的に事業展開している。25年10月期は大幅営業・経常増益予想としている。10億円体制を構築した安定的家賃収入をベースとして、賃貸用不動産の取得・売却を積極的に行う方針だ。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。なお12月13日に自己株式取得を発表した。株価は調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■マーチャント・バンキング事業を展開
マーチャント・バンキング事業として不動産・企業投資関連などを展開し、安定的収益源となる資産性の高い収益不動産の取得を推進している。さらに新規分野としてブロックチェーン・NFTプラットフォーム関連、娯楽TVメディア・コンテンツ関連、再生エネルギー・EV充電器関連などにも展開している。
23年10月期のセグメント別営業利益(全社費用等調整前)は、マーチャント・バンキング事業が6億70百万円、オペレーション事業が0百万円だった。オペレーション事業については24年4月に子会社ケンテン(服飾雑貨店・ネット通販運営)の株式を譲渡して撤退した。
なお、23年3月末時点において流通株式比率がスタンダード市場上場維持基準に適合しない状況となっていたが、24年10月末時点で流通株式比率を含むすべての上場維持基準に適合した。
■不動産投資は資産性の高い収益不動産の取得を推進
不動産投資関連は、主にネット利回り5%以上を期待できる大都市圏の賃貸用マンションを中心に、安定的収益源となる資産性の高い収益不動産の取得を推進するとともに、保有物件売却による売上利益の積み上げも推進している。
なお直近の物件取得としては、24年8月に賃貸用マンション(名古屋市中区、取得日24年8月予定)を取得、24年8月にオフィスビル(東京都中央区)を取得した。また24年10月7日付で賃貸用マンション(東京都杉並区、24年11月中~下旬予定)の取得をリリースしている。
さらに新築マンション開発事業にも取り組んでおり、第1号案件として大阪府堺市にマンション開発用地を取得し、22年5月に田中土建工業と業務提携した。23年7月には建設業への取組強化に向けて、業務提携先であるアビスジャパン(持分法適用関連会社で病院・介護施設などの内装工事等各種工事を展開、太陽光発電関連でも提携)より、1級施工管理技士の資格を持つ萩原茂氏を建築事業部の責任者として招聘した。
24年11月には、HDI社(東京都港区)と不動産開発事業に関して業務提携した。第1号案件として、川崎市中原区の約150坪の土地を仕入れ、ワンルームマンションを設計・施工し、大手不動産業者に納める事業の検討を開始した。
■企業投資はハンズオン型中心でM&Aも強化
企業投資関連は、投資先とともに企業価値を創造するハンズオン型の投資を行い、バリューアップによるエグジットを目指す。投資実績としては、ブロックチェーンプラットフォーム開発のアーリーワークス、デジタルマーケティング支援のポイントスリー、ブライダル・ホテル運営のホロニック、見守り型介護ロボット開発のIVホールディングスなどがある。
23年3月にはセキュリティチップを開発・製造する台湾Enova Technology社に資本参加した。23年6月には香港のコングロマリットである新世界発展でグループの投資部門の責任者として活躍してきたチャン・チン氏を取締役として招聘し、香港子会社MBK ASIA LIMITEDを拠点にした投資関連事業を強化した。24年8月には半導体関連企業に対する投資の開始を発表した。またM&Aを強化することを目的として24年6月に業務提携したColorsJapan社(大阪市)と、24年8月に資本業務提携(ColorsJapan社が同社株式を取得)した。
24年10月には、アジア市場を中心にゲームソフト販売等を展開するGCL Global Limited(GCL社)が発行した転換社債200千米ドルを取得した。この転換社債の権利行使を行う際はGCL社のグループ会社であるGCL Global Holdings(GCLGH社)が発行する株式を取得することになる。
24年11月には、ColorsJapan社(24年6月に業務提携)と、貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)による資金を活用し、地方創生型のM&Aに取り組むと発表した。第1号案件として伊香保温泉「明野屋」など、ColorsJapan社のホテル・旅館プロジェクトのクラウドファンディングに着手した。
■新規事業分野
新規分野としては、ブロックチェーン・NFTプラットフォーム関連、娯楽TVメディア・コンテンツ関連、再生エネルギー・EV充電器関連などに展開している。
ブロックチェーン関連では、STO(Security Token Offering)を活用したサービスとして、20年2月にサービス開始したエストニア暗号資産交換所ANGOO FinTech関連、海外投資家向けを中心とする日本不動産プラットフォームなどの不動産テック関連、医療エコシステムのメディテックプラットフォーム関連、NFT(Non―Fungible Token=非代替性トークン)プラットフォーム関連などを展開している。
海外(欧州)では20年10月に子会社BFHへANGOO FinTech運営を移管してエストニアでの事業統括会社と位置付けた。23年7月にはエストニアの子会社EJTCについて、バルト3国で運営する証券取引所Nasdaq Baltic上場(21年3月上場)のメリットを活かし、エストニアを拠点とするEUでの事業展開により、企業価値向上に向けた取組を強化する方針とリリースした。24年9月にはEJTCがエストニア企業に対する取り組みを開始した。
23年7月にはEV充電器設置事業への取組を開始した。自社保有するマンションの駐車場や投資先であるホロニックが運営するホテルの駐車場への設置から着手し、新たな設置場所を確保しながら事業拡大を目指す。また23年7月には太陽光パネル設置事業への取組を開始した。自社保有マンションの屋上等へ太陽光パネル設置し、蓄電や売電によって収益確保を目指す。23年8月にはセコムの防犯カメラ設置実績も豊富なDコーポレーションと、防犯カメラ設置ならびにIT関連事業の分野で業務提携した。
23年12月には、プラスチック循環再生事業を手掛ける循環資源ホールディングスと資本業務提携(第三者割当増資により5.77%出資)した。関東圏に再生油生成プラントを設置する。また23年12月にはオリエントコーポレーションと加盟店契約を締結した。ホームセキュリティ事業、建設業、EV充電器設置事業、太陽光パネル設置事業、プラスチック循環再生事業などの分野において、オリエントコーポレーションの多彩な金融サービスを活用する。
なお、子会社の娯楽TVメディア・コンテンツについては24年9月に全株式を譲渡し、キャラクター・コンテンツビジネスへの展開を中止した。
■24年10月期は黒字着地、25年10月期は大幅営業・経常増益予想
24年10月期(12カ月決算、23年10月期は7カ月決算)の連結業績は、売上高が44億46百万円、営業利益が3億26百万円、経常利益が99百万円、親会社株主帰属当期純利益が1億82百万円だった。配当は23年10月期比1円増配の2円(期末一括)とした。配当性向は32.1%となる。
前回予想(23年12月14日付、売上高30億円、営業利益6億円、経常利益4億円、親会社株主帰属当期純利益2億60百万円)に対して、売上高は14億46百万円上回ったが、営業利益は2億73百万円、経常利益は3億円、親会社株主帰属当期純利益は77百万円それぞれ計画を下回った。
売上高については、賃貸用不動産の売却が期初計画の3物件に対して6物件となったため計画を大幅に超過達成したが、利益面については賃貸用不動産の売却益が想定を下回った一方で物件取得経費(賃貸用不動産の取得は6物件)が想定を上回った。また本社経費が計画を上回ったことも影響した。経常利益については営業外で株主優待引当金繰入額を計上したことも影響した。ただし各利益は大幅増収効果で黒字を確保した。
なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が3億63百万円で営業利益が68百万円の損失、第2四半期は売上高が10億55百万円で営業利益が83百万円、第3四半期は売上高が7億56百万円で営業利益が1億27百万円、第4四半期は売上高が22億72百万円で営業利益が1億84百万円だった。
25年10月期連結業績予想は売上高が24年10月期比3.5%増の46億円、営業利益が84.0%増の6億円、経常利益が152.5%増の2億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が9.9%増の2億円としている。配当予想は24年10月期と同額の2円(期末一括)としている。予想配当性向は29.3%となる。
10億円体制を構築した安定的家賃収入をベースとして、賃貸用不動産の取得・売却を積極的に行う方針だ。なお12月9日には販売用不動産(札幌市、共同住宅)の売却を発表した。25年10月期第1四半期に売却益として営業利益52百万円程度を計上予定である。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。
■株主優待制度
なお24年6月3日に株主優待第3弾を発表した。24年10月31日から1年間3単元(300株)以上保有した株主を対象にクオカード5000円分を贈呈する。また24年10月28日に株主優待第4弾の実施を発表した。株主優待実施頻度を拡充し、25年4月末時点で60単元(6000株)以上保有株主を対象に、資本業務提携先であるColorsJapanが地域創生案件として取り組んでいる宿泊施設の6万円相当の宿泊券などを贈呈(1品を選択)する。
■株価は反発の動き
12月13日に自己株式取得を発表した。上限55万株または1億47百万円、取得期間24年12月16日~25年1月31日としている。
株価は調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。12月20日の終値は298円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS6円83銭で算出)は約44倍、今期予想配当利回り(会社予想の2円で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS142円71銭で算出)は約2.1倍、そして時価総額は約88億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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